内容説明
窓ごしに、遠く南の岬の灯がともる。毎夕、久美は、そのいちばん最初の光を見届ける。灯光のきらめきは、長い間、病気で、療養生活をおくる久美のなぐさめだった。友だちのように中学受験もできない。風邪をおそれて、外出もできない。ひとりぼっちの部屋で、久美は声の便りをテープにふきこみ、灯台へ送った。やがて灯台に住む少年から、待ちに待った返信のテープが届いた―。
窓ごしに、遠く南の岬の灯がともる。毎夕、久美は、そのいちばん最初の光を見届ける。灯光のきらめきは、長い間、病気で、療養生活をおくる久美のなぐさめだった。友だちのように中学受験もできない。風邪をおそれて、外出もできない。ひとりぼっちの部屋で、久美は声の便りをテープにふきこみ、灯台へ送った。やがて灯台に住む少年から、待ちに待った返信のテープが届いた―。