出版社内容情報
サンゴ礁の美しい平和な海を、突然おそった恐ろしい光。死の灰をうけた海の生物たちは…。第五福竜丸の悲劇を知った著者が、核兵器廃絶への願いをこめて、平和の尊さをわかりやすく描いた絵本。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
242
いぬいとみこ・文、津田櫓冬・絵。1954年のビキニ環礁での水爆実験に対する抗議の意を込めて製作された絵本。操業中の第五福竜丸が被爆したあの実験である。ここでは、擬人化されたトビウオに仮託されて、水爆の後遺障碍の大きさと悲惨さを訴える。子どもたちにとっては、あるいは人間が主人公の物語よりも感情移入しやすいかもしれない。絵は基本的にリアリズムだが、動きと表情に多少の擬人化がなされている。色彩を抑制したのも、ここでは効果を上げている。2025/01/29
ひらけん
33
北朝鮮が太平洋に水爆実験をするとニュースで流れ、第5福竜丸の話をテレビで見て、昔に読んで衝撃を受けたこの本を読み返したな。放射能の被害は何も人間だけではない。地球上に生きる全ての生命に甚大な被害を及ぼす事を考えさせられた。静かで平和な海がまるで恐ろしい墓場になりましたと沢山の魚の死骸が漂う絵に思わず声を失った。人間の身勝手な水爆実験のせいで、このとびうおのぼうやみたいに病気になり、沢山の生き物が死んでいったに違いない。地球には人間だけが住んでいる訳ではない。全ての生き物が共存している事を忘れてはいけないな2017/10/03
どあら
28
図書館で借りて読了。1954年3月1日に突然、アメリカの水素爆弾の実験が行われました。その影響はトビウオの親子に直撃しました…(-_-;) (3年生以上、5分28秒)2020/06/04
みーなんきー
28
1954/3/1太平洋のビキニ環礁で行われた水爆実験のために、家族も自身の健康も失くしてしまったトビウオの子どものお話。それは一瞬の閃光と白い降ってくる粉の目に見える2つに、関わった生き物の運命を変えてしまった。日本の第五福竜丸の船員もその中の人たち。一瞬の出来事が、多くの人の人生を変えてしまった。水爆は恐ろしい。2018/12/17
まさまま
25
読み友さんのご紹介にて読むことができました。感謝です。『ビキニ事件』『第5福竜丸』『水爆実験』について語る作品。ですが人物や船は出てきません。無垢なトビウオのぼうやを通して、突然奪われた日常、無知の怖さ、途方に暮れる市井の人々の不安が伝わってきました。風評被害を恐れて口をつぐんで生きてこられた方々がいらっしゃることも今更ながら知りました。都合の悪い事実を封印し、記憶から消したいと願うのも人間。一方でかけがえのない地球(命)が核戦争(核の暴走)で滅びてしまわないようにくい止めるのも人間です。〈続く〉2024/09/22