出版社内容情報
北海の孤島できつねの親子が平和にくらしていました。しかし、戦争の余波は、この親子にまでおよんできたのです。英語版・ドイツ語版が出版され、アニメ映画でも話題をさらった詩情豊かな絵本。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Willie the Wildcat
58
家族、親子の愛情。とうさんぎつね、かあさんぎつねの愛情表現。お気に入りのきつなんだけど、とても切なく、哀しい。動物も気持ちは人間と同じ!自然との共生。得撫島。今でもきつね、いるのかなぁ・・・。絵は、スケッチ調の柔らかく、優しさに溢れる。かあさんぎつねが、尻尾で傷ついた子供を温めるシーンが印象的。愛情が一杯、心に響く・・・。北方領土問題というと、”4島”と考えがちだが大小様々な島で成り立っているのを思い出させてくれる。2013/10/13
yomineko
52
著者の実体験に基づく、余りにも悲しく惨い物語。人間のせいで、こうやって貴重な野生生物の命が奪われ、自然が壊れて行く。2024/03/13
ダリヤ
37
わたしたちがみだしている、しぜんのながれは、わたしのいまのせいかつのながれもちょくせつではなくても、どうぶつやしぜんのながれをみだし、いのちをうばっていっています。わたしたちは、てっぽうをうち、いのちをうばってはいませんが、みつりょうしゃとおなじことをしらずにしているんだと、とてもかんがえさせられます。きつねのおやこのふかいあいじょうに、ただ、ただ、なみだがあふれました。2011/03/23
めしいらず
36
絵の優しい感じが、物語の悲しさ、生きる厳しさを一層際立たせる。2013/03/12
Gummo
32
著者が昭和19年に千島列島のウルップ島で実際に体験した事柄を元に創作した絵本。人間の傲慢さの犠牲となったキツネの親子の悲しき物語。前半は子ギツネの可愛らしさが美しく描かれていてほんわかした雰囲気なのだけれど、後半は読むのがつらくなる。子供たちを守ろうとした親ギツネの深い愛情が心に沁みる。★★★★☆2014/03/23