出版社内容情報
量子コンピュータがどのように構築され,これからの社会にどのように影響を与えていくかを,超一流の研究者たちが結集して解説する。
内容説明
社会を変える可能性を秘めた量子コンピュータの「これまで」と「これから」を網羅する、米国科学・工学・医学アカデミーによる報告書。量子アニーリングの提唱者、西森秀稔教授による翻訳!
目次
1 コンピューティングの進歩
2 新たなパラダイムとしての量子コンピューティング
3 量子アルゴリズムとアプリケーション
4 暗号に対する量子コンピュータの影響
5 量子コンピュータの基本的なハードウェア要素
6 スケーラブルな量子コンピュータの基本ソフトウェア要素
7 量子コンピューティングの実現可能性と時間スケール
付録
著者等紹介
西森秀稔[ニシモリヒデトシ]
1982年東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。1984年東京工業大学理学部助手。1990年東京工業大学理学部助教授。1996年東京工業大学理学部(2016年より理学院)教授。2018年東京工業大学科学技術創成研究院教授。東北大学大学院情報科学研究科教授(クロスアポイントメント)。2019年理化学研究所客員主幹研究員。専門分野:量子力学、統計力学。受賞歴:1990年日本IBM科学賞。2001年英国物理学会フェロー。2006年仁科記念賞。2014年日本イノベーター大賞特別賞。2016年東工大教育賞最優秀賞。2018年C&C賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こたろう
3
量子コンピュータの歴史と、仕組みについて説明した本。専門家にしたら簡単に記載されていて(いるであろう)、素人にとっては専門的すぎる。「驚異の量子コンピュータ」の次には、ハードルが高い本。最低限、量子力学については知っていないと、まず読みすすめることは困難な内容。現代のノイマン型コンピュータの性能が飛躍的に上がるというだけではなく、ハードの仕組み自体が変わってしまうので、アルゴリズムもイチから作り直す必要がある。少なくともあと10年は一般家庭には普及しないだろうし、現状、昔のメインフレームみたいにデカイ。2020/04/05
みるか
2
量子コンピュータの進歩と展望に関して非常によくまとまっている.量子力学に関する知識がなくてもスムーズに読み進めることができる.本書 pp.2-13 にサマリーが載っているが,ここだけでも十分読む価値がある.私自身は量子コンピュータについて何となく見聞きした程度であり,個々の用語(e.g., 量子アニーリング,量子ゲート,量子誤り訂正)が一人歩きしている状態だったが,本書によってかなり整理された.2022/04/14
N
0
米国科学・工学・医学アカデミーによる近年と将来における量子コンピュータの研究開発の現状と展望について詳細にまとめられた報告書。この状況をなるべく広く正確に把握できる。全文は数式を用いられていないため数学・物理系でない人でも読むことは可能だと思う。ただし専門用語が多く出て来ることもある。この本を読み量子コンピュータの実現には希望もあるが実際に役に立てられるようになるまでに乗り越えるべき課題がとても多いようだと思った。個人的には誤り訂正のオーバーヘッドのないトポロジカル量子コンピュータに長期的には期待したい。2022/08/25