出版社内容情報
本書は,「計算」にまつわる様々な概念を,日常生活やよく知られた物語にたとえて描いている。『ヘンゼルとグレーテル』は森を抜けて家に帰るためのアルゴリズムを実行しており,『恋はデジャ・ブ』は決定不可能な問題の話であり,『シャーロック・ホームズ』はデータ構造を駆使して事件を解決している。『ハリー・ポッター』の世界の魔法は型と抽象化を通して理解でき,『インディ・ジョーンズ』は探索の複雑さを体現していることになる。議論されている内容は,アルゴリズム,記号と表現,データ構造,P=NP問題,言語・構文・曖昧さ,制御構造とループ,再帰,停止性問題,型,アルゴリズムの検証など多岐にわたる。
・森に置き去りにされた『ヘンゼルとグレーテル』は,どうやって家に帰った?
・『シャーロック・ホームズ』は犯人を見つけるのにどんなデータ構造を使った?
・『インディ・ジョーンズ』が潜り抜けた死の罠はどれくらい難しい問題か?
・『虹の彼方に』の楽譜はアルゴリズムで演奏は計算?
・『恋はデジャ・ブ』の繰り返しが終わるかどうかわかる?
・『バック・トゥ・ザ・フューチャー』とパラドックス?
・『ハリー・ポッター』の魔法が成功するのはどんなとき?
原著:Martin Erwig: Once Upon an Algorithm: How Stories Explain Computing, MIT Press, 2017.
第I部 アルゴリズム
《計算とアルゴリズム:ヘンゼルとグレーテル》
第1章 計算を理解するための道
1.1 問題をつまらないところまで持っていく
1.2 表現なくして計算なし
1.3 問題解決を超えて
1.4 ふたたび問題が起こるとき
1.5 「アルゴリズム語」を喋れますか?
1.6 ほしいものリスト
第2章 きちんとやる:計算が実際に起こるとき
2.1 多様性を作る
2.2 誰が実行している?
2.3 生存のコスト
2.4 コストの概要
2.5 コストの増大
《表現とデータ構造:シャーロック・ホームズ》
第3章 記号の謎
3.1 表現の記号
3.2 上から下まで記号
3.3 シニフィアンを理解する
3.4 記号と対象をつなぐ3つの方法
3.5 システマティックに表現を使う
第4章 探偵のノート:七つ道具
4.1 いつもの容疑者(ユージュアル・サスペクツ)
4.2 情報の統合
4.3 順序が問題になるとき
4.4 それは血筋だ(グロムバーグ家の人々)
《問題解決とその限界:インディ・ジョーンズ》
第5章 完璧なデータ構造を求めて
5.1 探索を速くする鍵
5.2 ボグルで生き残る
5.3 ディクショナリで数える
5.4 リーンスタートアップがよいとは限らない
5.5 効率性は平衡にかかっている
5.6 トライ木にトライする
第6章 整列を整理する
6.1 最初のものを最初に
6.2 好きなように分けて
6.3 最良のときはまだこれから
6.4 探究の終わり:これ以上のソートアルゴリズムはない,決して
6.5 このうえなく素晴らしい(恋愛小説家)
6.6 計算の保存
第7章 ミッション・イントラクタブル
7.1 秤を傾ける
7.2 実行時間が爆発するとき
7.3 運命共同体
7.4 涅槃の誤謬
7.5 役に立たないものを役立てる
第II部 言語
《言語と意味:虹の彼方に》
第8章 言語のプリズム
8.1 メロディーに注意する
8.2 文法規則
8.3 構造は木の上で育つ
第9章 正しい音程を見つける:音の意味
9.1 それは正しいようには聞こえない
9.2 意味を獲得する
《制御構造とループ:恋はデジャ・ブ》
第10章 洗う,すすぐ,繰り返す
10.1 永遠と1日
10.2 何もかも順調
10.3 ループはループはループ
第11章 ハッピーエンドとは限らない
11.1 制御不能
11.2 私たちはまだそこにいる?
11.3 終わりが見えない
《再 帰:バック・トゥ・ザ・フューチャー》
第12章 さっさと直せばうまくいく
12.1 そろそろ時間だ
12.2 どんなときも
12.3 ぎりぎり間に合う
12.4 不動点とともにパラドックスと闘う
12.5 ループすべきかループせざるべきか
12.6 再帰の多くの顔
第13章 解釈の問題
13.1 歴史を書き換える
13.2 もっと小さな足跡
13.3 ドッペルゲンガーがより多くを成す
《型と抽象化:ハリー・ポッター》
第14章 魔法の型
14.1 魔法の型と型の魔法
14.2 規則を支配する
14.3 規則を適用できないとき
14.4 法の執行
14.5 コードを組み立てる
第15章 鳥の目:細部の抽象化
15.1 手短に言うと
15.2 いつなのか言って
15.3 抽象化の続き
15.4 万能の型
15.5 抽象化の時間
15.6 機械の中の言語
用語集
訳者あとがき
索 引
Martin Erwig[マーティン エルヴィグ]
著・文・その他
高島 亮祐[タカシマ リョウスケ]
翻訳
目次
第1部 アリゴリズム(計算とアルゴリズム―ヘンゼルとグレーテル;表現とデータ構造―シャーロック・ホームズ;問題解決とその限界―インディ・ジョーンズ)
第2部 言語(言語と意味―虹の彼方に;制御構造とループ―恋はデジャ・ブ;再帰―バック・トゥ・ザ・フューチャー;型と抽象化―ハリー・ポッター)
著者等紹介
高島亮祐[タカシマリョウスケ]
2001年東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。現在、システムインテグレーターにてシステム開発業務に従事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。