出版社内容情報
機械学習やAI(人工知能)の進展によって、経営戦略論、組織論、人事・労務管理論、マーケティング、会計、ファイナンスといった経営学における諸専門分野においても、数理的アプローチやデータ分析の素養を身に付けることが必要不可欠になりつつある。本書は、それに先立ち、上記分野への応用を目的とした数学的基礎知識のうち、「線形代数」を扱うテキストである。
本書は、本書で扱う線形代数の知識が経営学の諸領域にどのように応用可能なのかをケース問題として随所に例示することによって、学習者の動機付けを促している。また、機械学習やAIにおいて最も多く使われているプログラミング言語であるPythonの習熟も視野に入れ、Python記号演算ライブラリSymPyスクリプトを用いた演習問題を配置している。これは、文系に分類されている経営学では、行列の計算を中心とした演習方法は適当ではなく、計算力よりも「どのような計算を行わせれば、どのような結果が得られるのか」という論理的思考力の涵養が重要と考えたからである。付録にPythonの基本操作方法をまとめており、事前知識がなくても本文のスクリプトが理解できるよう配慮した。
【目次】
はじめに
序章
第1章ベクトル
1.1 ベクトルとは
1.2 ベクトルの演算
1.3 一次独立と一次従属
1.4 ベクトルの直交性
1.5 線形空間
1.6 【導入ケース解説】市場調査と製品戦略の決定
1.7 ファイナンスへの応用:オプションの価格付け
練習問題
第2章行列
2.1 行列とは
2.2 行列の演算
2.3 いろいろな行列
2.4 線形写像
2.5 【導入ケース解説】新製品の生産に伴う生産計画の確認
2.6 経営学への応用:製品アーキテクチャー論
練習問題
第3章行列の基本変形と連立1 次方程式
3.1 連立1 次方程式の解法
3.2 基本行列と行列の標準形
3.3 【導入ケース解説】新製品の生産に伴う生産計画の修正
3.4 会計学への応用:原価計算と部門別計算
練習問題
第4章逆行列と行列式
4.1 逆行列
4.2 行列式の諸性質
4.3 【導入ケース解説】プロモーション戦略の修正
4.4 マーケティングへの応用:判別分析
練習問題
第5章固有値
5.1 固有値と固有ベクトル
5.2 行列の対角化
5.3 【導入ケース解説】レギュラー商品の決定と顧客評価分析
5.4 マーケティングへの応用:主成分分析
練習問題
第6章二次形式と最適化
6.1 多変数関数の凹凸
6.2 等号制約付き最適化問題
6.3 【導入ケース解説】セールスミックスの意思決定:制約条件の下での限界効用と利益最大化
6.4 経済学への応用
6.5 ファイナンスへの応用:ポートフォリオ最適化問題
練習問題
おわりに
付録A 多変数関数の微分法
A.1 多変数関数
A.2 偏微分法
A.3 全微分
付録B Python 基本操作
B.1 起動
B.2 Python による処理と演算
B.3 SymPy ライブラリ
B.4 保存と終了
B.5 保存ファイルの読み込み
B.6 マニュアルとリンク
参考書籍
索引