出版社内容情報
2019年12月に中国武漢で出現した新型コロナウイルスは、瞬く間に世界中に広がり、日常を大きく変えた。今まさに、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)をはじめとした新興・再興感染症流行に備えるためにも、現実的な問題に対応できる数理科学的なフレームワークが希求されている。そこで、本書では著者ら独自の研究に基づき、どのような数学的ツールやコードを用いればウイルス感染の数理モデルやシミュレーションが開発できるのかを説明する。特に、ウイルス学や感染症疫学、免疫学を含む生命医科学分野への参入を目指す数理科学を背景にする学部生・大学院生や研究者を対象に、個体群動態(集団の数や量の時間変化)の定式化とデータ解析のノウハウを説明する。
また、実際にCOVID-19の臨床データを用いた研究成果についても詳細に解説する。なお、数理科学を背景にしない実験・臨床科学者に対しては、取得するデータがどのように分析されて、何がわかるようになるかを知る機会を提供している。さらに、本書に登場するシミュレーションやパラメータ推定を実施するためのコードはサポートページで公開している。なお、言語はPythonおよびRを用意した。
目次
第1部 基礎知識(新しいウイルス学をめざして;ウイルス感染動態の数理モデル)
第2部 実験データへの適用(ウイルス感染における侵入;ウイルス感染における暗黒期;ウイルス感染における伝播様式;ウイルス感染における阻害効果;ウイルス感染における多階層性)
第3部 臨床データへの適用(ウイルス感染動態に基づく治療提案;ウイルス感染動態に基づく感染症対策)
著者等紹介
岩見真吾[イワミシンゴ]
1982年和歌山県生まれ。現在、名古屋大学大学院理学研究科理学専攻教授、博士(理学)。専門、数理科学・数理生物学
中岡慎治[ナカオカシンジ]
1979年大阪府生まれ。現在、北海道大学大学院先端生命科学研究院数理生物学研究室准教授、博士(理学)。専門、数理科学
岩波翔也[イワナミショウヤ]
1994年熊本県生まれ。現在、名古屋大学大学院理学研究科理学専攻講師、博士(理学)。専門、数理生物学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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