出版社内容情報
本書は、代数的・幾何的の両面からのアプローチにより、離散最適化理論に関するトピックを詳しく取り上げた翻訳書である。
各部で扱われるLLL簡約(第I部)、Graver基底(第II部)、母関数(第III部)、Grobner(グレブナー)基底(第IV部)、正点定理・零点定理に基づく緩和法(第V部)といったトピックは、それぞれ独立した書籍が多数刊行されるほど広く知られる手法である。
これらの理論は、最適化理論全体に於いても重要な基盤であるが、既存の書籍では最適化に関する記述に多くのページは割かれていない。ゆえに本書の大きな特長である「最適化理論と代数学の諸分野との関係を解説する」というコンセプトの下で編纂された書籍は、本書が初めて実施したものと言えるだろう。
現在、様々な大学で理工系の数学者を巻き込んだデータサイエンスに関する組織が次々立ち上がっており、社会的にも最適化理論の知識が広く求められている。
本書は15週の講義を意識し、各章ごとに新しいアイデアやツールへの招待をすることを想定して書かれている。
[原著:Algebraic and Geometric Ideas in the Theory of Discrete Optimization, SIAM, 2013]
目次
第1部 離散最適化の確立された技法(線形および凸最適化の技法;数の幾何学と整数計画法からの手法)
第2部 Graver基底の技法(Graver基底;ブロック構造をもつ整数計画問題におけるGraver基底)
第3部 母関数の技法(母関数の導入;多面体の特性関数の分解 ほか)
第4部 Gr¨obner基底の技法(多項式の計算;整数計画問題でのGr¨obner基底)
第5部 零点定理および正点定理による緩和(離散最適化における零点定理;多項式の正値性と大域最適化 ほか)
著者等紹介
佐久間雅[サクマタダシ]
1997年東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻博士課程修了。現在、山形大学理学部教授。博士(学術)
富安亮子[トミヤスリョウコ]
2005年東京大学大学院数理科学研究科博士課程単位取得退学。現在、九州大学マス・フォア・インダストリ研究所教授。博士(数理科学)
八森正泰[ハチモリマサヒロ]
2000年東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻博士課程修了。現在、筑波大学システム情報系准教授。博士(学術)
脇克志[ワキカツシ]
1993年千葉大学大学院自然科学研究科博士課程修了。現在、山形大学理学部教授。博士(理学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。