出版社内容情報
本書は、家畜の遺伝的能力評価に用いられる育種価の予測法とゲノム情報の活用法を解説した専門書である。各章では、理論の背景を説明するとともに、難解な事項には証明を付した。さらに、数値例を中心とした具体的な例題を紹介し、理解を深めやすい構成とした。
読者層は、家畜や動物に関する遺伝育種学を身につけたうえで、家畜育種の本筋である遺伝的能力評価法を学ぼうとする大学院生や、動物遺伝育種学の研究室に所属する学生を想定している。そのため、線形代数の基礎的事項は第1章で簡潔にまとめているが、「育種価」「優性効果」「近交係数・血縁係数」など、家畜育種学で一般的に用いられる用語については既知としている。
近年、家畜育種に関する統計遺伝学は格段に高度化しているにもかかわらず、この20年ほど、家畜の遺伝的能力評価を体系的に扱った和書はほとんど出版されていない。本書は、その空白を埋める一冊として、研究や教育の現場で長く参照されることを目指している。
【目次】
第1章 遺伝的能力評価のための線形代数
1.1 ベクトルと行列
1.2 一般逆行列
1.3 行列の微分と条件付き極値
1.4 確率分布と期待値・分散
第2章 遺伝的能力評価の基礎
2.1 育種価予測の原理
2.2 様々な情報による育種価の予測
第3章 母数効果の推定
3.1 母数モデルと変量モデル
3.2 推定量の特性
3.3 母数効果の推定
第4章 選抜指数の基礎
4.1 育種目標形質と経済的重み付け値
4.2 選抜指数式の導出
4.3 育種価の予測精度と遺伝的改良量
4.4 選抜指数の特性
第5章 様々な選抜指数
5.1 制限付き選抜指数
5.2 母性遺伝効果を含む選抜指数
5.3 選抜指数の応用
第6章 最良線形不偏予測法の基礎理論
6.1 相加的血縁行列と逆行列
6.2 BLUP法の導入
第7章 単形質1変量モデル
7.1 1変量モデル
7.2 遺伝的グループ
第8章 単形質多変量モデル
8.1 永続的環境効果
8.2 共通環境効果
8.3 母性遺伝効果
第9章 多形質モデル
9.1 1変量モデル
9.2 制限付きBLUP法
第10章 変量回帰モデル
10.1 変量回帰モデル
10.2 変量回帰モデルの家畜育種への応用
第11章 遺伝的能力評価のための行列計算
11.1 方程式の直接解法と逆行列の計算
11.2 方程式の反復解法
第12章 制限付き最尤法による遺伝的パラメーターの推定
12.1 遺伝的パラメーターの推定
12.2 最尤法
12.3 制限付き最尤法(REML法)
12.4 制限付き最尤法の家畜育種への応用
12.5 制限付き最尤法を用いた各種収束法
第13章 ギブスサンプリング法による遺伝的パラメーターの推定
13.1 ベイズ推定法
13.2 ギブスサンプリング法
13.3 ベイズ推定法の家畜育種への応用
第14章 ゲノム情報の利用法
14.1 DNAマーカー
14.2 DNAマーカーを用いた選抜
14.3 縮小推定
14.4 様々な目的変数の利用
第15章 ゲノミック評価
15.1 SNP効果を用いたゲノム育種価の予測
15.2 GBLUP法によるゲノム育種価の予測
15.3 ssGBLUP法によるゲノム育種価の予測
解 答
文 献
索 引
目次
第1章 遺伝的能力評価のための線形代数
第2章 遺伝的能力評価の基礎
第3章 母数効果の推定
第4章 選抜指数の基礎
第5章 様々な選抜指数
第6章 最良線形不偏予測法の基礎理論
第7章 単形質1変量モデル
第8章 単形質多変量モデル
第9章 多形質モデル
第10章 変量回帰モデル
第11章 遺伝的能力評価のための行列計算
第12章 制限付き最尤法による遺伝的パラメーターの推定
第13章 ギブスサンプリング法による遺伝的パラメーターの推定
第14章 ゲノム情報の利用法
第15章 ゲノミック評価
解答
著者等紹介
佐藤正寛[サトウマサヒロ]
1985年東北大学大学院農学研究科博士前期課程修了、農学博士。現在、東北大学名誉教授、グローバルピッグファーム(株)統計育種技術顧問。専門、家畜育種学
上本吉伸[ウエモトヨシノブ]
2005年東北大学大学院農学研究科資源生物科学専攻博士課程前期修了、博士(農学)。現在、東北大学大学院農学研究科動物遺伝育種学分野教授。専門、動物遺伝育種学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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