出版社内容情報
【数値例とコードから説明した金融工学のテキスト】
金融工学/ファイナンスは非常に難しい学問で、金融工学のテキストはその理論を抽象的な数式で説明するだけのものが多い。 しかし、本書は重要な数式には数値例を与え、まず手計算し、数式の意味を咀嚼した上で、実装例として、QuantLib-Python (以下QuantLib) のコードを示し、手計算と同じ数値が出力されることを確認する。
このようなステップを踏むことで、難解な金融工学の理解を深め、QuantLibを実務面で活用できるようになる。
【各モデルの詳細な例示とアフターLiborへの対応】
ファイナンス実務において標準的に使用されているBlack (第6章), Bachelier (第7章), SABR (第8章), Hull-White (第9章), CDS (第10章) の各モデルに対して、丁寧に説明し、理解しやすいような数値例とQuantLibコードを付けた。
また、2023年Libor廃止後のRFR関連の計算法とコードを提示した。これらが本書の際立った特徴である。
【ハードルの低いQuantLib入門書】
実務ベースでQuantLibの利用は徐々に広がっているが、入門者向けの情報が少ない点でQuantLibを利用するハードルは依然として高い。本書はこのハードルを低くすることを目指した待望のQuantLib入門書である。
【ファイナンス分野でのPython実務書】
Pythonの入門的な知識に関しては非常に多くのテキストが出版されているが、その多くはデータサイエンスや機械学習関連のものとなり、ファイナンス分野でのPythonのテキストはマイナーな存在となっている。
Python (Pandas, Matplotlib等のライブラリを含む) を勉強しても、ファイナンス実務での利用機会が少ないと感じる実務家は多く、本書はそのような読者へのPython実務書である。
【目次】
はじめに
0.1 パソコンの実行環境
0.2 Pythonライブラリ
0.3 オブジェクト指向プログラミング
0.4 各章の構成と読み方
第1章 QuantLib入門とディスカウントファクター算出
1.1 QuantLibのクラスとメソッド
1.1.1 日付操作
1.1.2 日付クラスのキャスト(型変換)
1.1.3 QuantLib-Pythonのドキュメント
1.2 ゼロカーブオブジェクトとディスカウントファクター
1.2.1 ゼロカーブオブジェクトの作成
1.2.2 ディスカウントファクターの計算法
1.2.3 イールドカーブの描写
1.3 Tiborレートのコーディングと計算例
1.3.1 単利のディスカウントファクター
1.3.2 Tiborクラスとクォート(市場建値)
1.3.3 ヘルパークラス
1.3.4 ハンドルクラス
1.3.5 イールドカーブクラスとタームストラクチャー(YTS)
1.3.6 Tiborフィクシング関連のメソッド
1.3.7 ディスカウントファクターの対数線形補間
1.3.8 図1.13 Tiborゼロカーブのオブジェクト図
1.4 myABBRモジュール,myUtilモジュール
1.4.1 myABBRモジュール
1.4.2 myUtilモジュール
1.5 InterestRateクラス,FlatForwardクラス
1.5.1 InterestRateクラス
1.5.2 FlatForwardクラス
1.6 QuantLibリファレンスマニュアル
1.6.1 QuantLibクラス一覧と継承
1.6.2 型(クラス)の確認
1.6.3 Search欄
1.7 xlwings入門(1):Python関数のExcelからアクセス
1.7.1 xlwingsのインストールと環境設定
1.7.2 関数の引数を範囲指定とするデコレータ
第2章 Ibor金利スワップ
2.1 金利スワップ入門
2.1.1 金利スワップの用語
2.1.2 QuantLibの金利スワップ評価例
2.2 Iborスワップカーブ
2.2.1 指標金利オブジェクト
2.2.2 ヘルパーとイールドカーブオブジェクト
2.2.3 データフレーム作成法
2.2.4 makeTiborCurve関数
2.3 Tiborスワップの評価
2.3.1 イールドカーブオブジェクト
2.3.2 Scheduleオブジェクト
2.3.3 MakeScheduleコンストラクタ
2.3.4 Swapオブジェクト
目次
第1章 QuantLib入門とディスカウントファクター算出
第2章 Ibor金利スワップ
第3章 RFRスワップとマルチカーブ
第4章 債券利回り、リスク指標、各種スプレッド
第5章 米国国債と債券先物
第6章 ブラックモデル
第7章 Bachelierノーマルモデルとクラス作成
第8章 SABRモデルと最適化法
第9章 Hull‐Whiteモデル
第10章 クレジット デフォルト スワップ
補足章
著者等紹介
小川謙二[オガワケンジ]
2022年Bloomberg社退社(長年同社で数値解析に従事)。現在、東京都立大学大学院経営学研究科ファイナンスプログラム非常勤講師。レトリバーアセットマネジメント代表。専門、金融工学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。



