出版社内容情報
●内容
「道具」としてのモノが人の認知活動に大きな影響を与えていること,翻って「使いやすい道具」を作るためには人の認知的過程を知ることが重要であるという認識もまた広く受け入れられつつある.
本著では,その「道具」となるモノと人間の認知の関係についての研究の紹介と今後の方向性を示すことを目的として構成された.前者は本著第1部にあたり,「認知科学」誌Vol. 5,No. 1に特集された4つの論文を,よりわかりやすくその後の展開も含めて書き直したものである.
これに加え,後者の論文を第2部として構成した.
近年,モノは大きく変化してきている.人が本来生活してきた物理世界から,全く新しい電子世界へと認知的活動範囲を急速に広げつつある今,本書がなんらかの社会的意義を有する認知科学研究の一助となることを期待する.
●目次
『「使いやすさ」の認知科学』の編集にあたって
第1部 認知科学による人工物研究
第1章 コミュニケーション論的インタフェース論
1.1 は じ め に
1.2 道具的コンピュータ観の批判的検討
1.3 コミュニケーション過程としてのインタフェース
1.4 課 題 分 割
1.5 課題分割を支援するためのインタフェース
1.6 道具と人間の対話のための条件
1.7 他のアプローチとの対比
1.8 お わ り に
参考文献
第2章 人間- コンピュータ間の社会的インタラクションとその文化依存性
2.1 は じ め に
2.2 人工物に対する対人的反応
2.3 互恵性に基づく人間- コンピュータ間インタラクション
2.4 日米間における対人的反応の文化依存性
2.5 実験 (1), (2) の考察
2.6 今後の人間- コンピュータ間インタラクション
2.7 おわりに
付 録
参考文献
第3章 認知的人工物を介した対話・対象指示コミュニケーション場面における認知的課題の検討
3.1 は じ め に
3.2 人工物間比較アプローチ
3.3 対話における認知的課題
3.4 実 験
3.5 まとめと今後の課題
参考文献
第4章 身体と相互性・ビデオコミュニケーション空間における身体の再構築
4.1 会話と相互行為の問題
4.2 ビデオ映像を通したコミュニケーションにおける非対称性の問題
4.3 実験と対象と概要
4.4 実験1
4.5 実験1の反省・身体メタファーという概念
4.6 実験2
4.7 結語相互性の問題
参考文献
第2部 これからの人- モノ相互作用
第5章 他者との切り結びとしてのコミュニケーション
5.1 は じ め に
5.2 「伝える」から「伝わる」へ
5.3 行為者の内なる視点から
5.4 実体から関係へ
5.5 「む~ (muu)」の世界
5.6 多人数会話の場
5.7 ま と め
参考文献
第6章 「使いやすさ」とは何か・高齢化社会でのユニバーサルデザインから考える
6.1 は じ め に
6.2 認知科学と高齢者のためのユニバーサルデザインの関係
6.3 認知的高齢化とユーザビリティテスト実験
6.4 複数の IT 機器を対象とした大規模ユーザビリティテスト実験
6.5 認知的高齢化と人- モノ相互作用・3層要因モデルとさらなる展開
参考文献
第7章 ユビキタス・コンピューティングの過去・現在・未来
7.1 は じ め に
7.2 自然なインタフェースによる情報処理
7.3 文脈を認識する情報処理
7.4 体験の自動的なキャプチャーとアクセス
7.5 生活コンピューティングに向けて
7.6 ユビコンプに関するその他の課題
7.7 お わ り に
参考文献
第8章 分散認知・HCI 研究の新たな出発に向けて
8.1 は じ め に
8.2 分散認知アプローチ
8.3 研究のための統合的な枠組
8.4 結論および今後の方向
参考文献
第9章 HCI の知識を効果的に利用・再利用するために
9.1 は じ め に
9.2 理論と認知モデル
9.3 クレーム,製品,人工物
9.4 クレームの一般化と HCI の知識の再利用
9.5 結 論
参考文献
目次
第1部 認知科学による人工物研究(コミュニケーション的インタフェース論;人間―コンピュータ間の社会的インタラクションとその文化依存性;認知的人工物を介した対話―対象指示コミュニケーション場面における認知的課題の検討;身体と相互性―ビデオコミュニケーション空間における身体の再構築)
第2部 これからの人‐モノ相互作用(他者との切り結びとしてのコミュニケーション;「使いやすさ」とは何か―高齢社会でのユニバーサルデザインから考える;ユビキタス・コンピューティングの過去・現在・未来;分散認知―HCI研究の新たな出発に向けて;HCIの知識を効果的に利用・再利用するために)
著者等紹介
原田悦子[ハラダエツコ]
1986年筑波大学大学院博士課程心理学研究科修了。現在、法政大学社会学部教授、教育学博士(1990年)。専門分野、認知心理学、認知工学、認知科学。研究活動内容、人間の記憶に関する基礎研究と、人にとっての「使いやすさ」とは何かという認知工学研究とを二つの柱として研究を進めている。特に現在は認知的高齢化現象の基礎研究、高齢者にとっての使いやすさ、対話システムにとっての使いやすさ、医療現場における事故防止のための認知工学などにも興味をもつ
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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