出版社内容情報
生態系――そこに住む生物や自然要素――は,今だけでなく将来住む人とも共有すべき財産である。この生態系を望ましい形で残し保全目標を設定するためには,今だけの姿だけでなく,過去はどのような生息場所であったのか,そこにはどのような生物がいたのか,またその生物はなぜいなくなったのかを,知らなければならない。このようなニーズに応えるため,本書ではモニタリングデータのない湖沼でも,近過去,すなわち人間活動の影響が最も顕在化した過去100年間の生物群集と環境の変遷を調べる手法を,具体的な研究例と合わせて紹介する。本書は湖沼の専門家だけでなく,広く野外科学の研究者やコンサルタント,これから研究を始めようとする初学者を対象としている。湖底堆積物に残された生物・化学情報を抽出するための遺伝情報を利用した手法,安定同位体やシードバンクの活用など,湖沼研究を実践的に行うための実験のマニュアルとしても利用出来る内容となっている。
第1章 堆積物サンプリング方法・処理方法
第2章 年代決定法―測定法の原理と年代決定の実際
第3章 炭素窒素安定同位体と有機化学分析による環境変化解析
第4章 重金属元素分析による環境変化の復元
第5章 光合成色素と遺骸による藻類群集の変遷
第6章 動物プランクトン遺骸の定量と群集復元
第7章 分子生物学的手法によるミジンコ群集の復元
第8章 橈脚類(ヒゲナガケンミジンコ)群集の復元
第9章 花粉分析による集水域植生の復元
第10章 生物標本を利用した湖沼生態系の復元
第11章 植生の再生に向けた土壌シードバンク調査
目次
堆積物サンプリング方法・処理方法
年代決定法―測定法の原理と年代決定の実際
炭素・窒素安定同位体と有機化学分析による環境変化解析
重金属元素分析による環境変化の復元
光合成色素と遺骸による藻類群集の変遷
動物プランクトン遺骸の定量と群集復元
分子生物学的手法によるミジンコ群集の復元
橈脚類(ヒゲナガケンミジンコ)群集の復元
花粉分析による集水域植生の復元
生物標本を利用した湖沼生態系の復元
植生の再生に向けた土壌シードバンク調査
著者等紹介
占部城太郎[ウラベジョウタロウ]
1987年東京都立大学大学院理学研究科単位取得退学。1987年千葉県立中央博物館学芸研究員、1993年東京都立大学理学部生物学科助手、1994年ミネソタ大学生態進化行動学教室客員研究員、1995年京都大学生態学研究センター助教授を経て、2003年より現職。現在、東北大学大学院生命科学研究科教授、理学博士。専門、生態学、陸水学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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