出版社内容情報
●内容
人間を含めて生物のデータは様々な形式で与えられ,また誤差も大きいという特徴を持っている。このような生物データを解析するために,これまでANOVA,回帰などの古典的な統計方法をはじめとしていくつかの方法が利用されてきたが,どの統計的方法においてもその方法が仮定する制約に対して,多様な生物データが整合するかどうかは常に検討される必要があった。自分のデータに対して,選んだ統計方法は使えないのではないかという疑いは,投稿論文の査読者の指摘を待たずとも,多くの研究者自身の頭を悩ませてきた問題の1つであろう。本書は無作為化と繰り返し計算をとおしてこの問題を解決しようとする「計算統計学」の解説本である。この方法は,コンピュータによって可能となる膨大な数の繰り返し計算の結果を用いて,注目する統計量の分布を決定する。この方法を用いることによって,統計方法の仮定にデータを合わせるというよりも,データの特性に合わせて解析を行える柔軟な道が開かれた。現在のコンピュータの発達がこれを可能にしたと言えるだろう。本書はカリフォルニア州立大学リバーサイド校のDerek A. Roff教授による「Introduction to Computer-Intensive Methods of Data Analysis in Biology」の翻訳書である。最尤法,ジャックナイフ法,ブートストラップ法,無作為化法,各種平滑化法,樹木モデル,ベイズ法が,生態学をはじめとした多くの生物学研究への応用例とともに丁寧に解説されている。パッケージソフトウェアとして市販のS-PLUSを用いているが,掲載されたプログラムはほとんどの場合,フリーウェアであるRでも動くようになっている。
目次
第1章 計算統計学的方法へ向けて
第2章 最尤法
第3章 ジャックナイフ法
第4章 ブートストラップ法
第5章 無作為化法とモンテカルロ法
第6章 回帰法
第7章 ベイズ法
付録
著者等紹介
Roff,Derek A.[ROFF,DEREK A.][Roff,Derek A.]
博士。カリフォルニア州立大学リバーサイド校の生物学科の教授
野間口眞太郎[ノマクチシンタロウ]
1955年生まれ。1987年九州大学理学研究科博士課程修了。1992年日本国際協力事業団の専門家として1年間パプアニューギニアに赴任。1993年佐賀大学教養部・助教授。1997年佐賀大学農学部・助教授を経て2007年より現職。現在、佐賀大学農学部応用生物科学科・教授・理学博士。専攻は行動生態学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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