出版社内容情報
「地球」の視点から生命史を総括する古生物学・地質学の教科書シリーズ第1弾!
第6巻では、地質時代の中で最も新しく、現代の我々が生活する時代でもある、第四紀の環境変動、生物進化、そして人類の進化をとりあげる。この時代の環境変動と生物進化は、私たちの生活に大きな影響を与えてきた。そして、それらの痕跡はいたる所に残されており、地質学、古生物学、古海洋学はもとより地理学、人類学、考古学、動物学、植物学などの研究対象になっている。そのため、第四紀は260万年間と短いものの、情報量は多様かつ膨大である。そこで、本巻では、環境変動や人類を含む生物進化に焦点を当てて解説する。
本書の前半では、第四紀の定義を概説するとともに、日本初の公式層序単元・地質年代単元に採用されたChibanian(チバニアン階/期)や、現在注目されているAnthropocene (人新世)について詳しく紹介する。次に、気候・海水準変動の復元方法や年代測定法の特徴と、北半球高緯度の大規模氷床形成、数万年周期の氷期・間氷期サイクル、突発的気候変動などの実態とそれらの発生機構の解釈について解説する。後半では、人類を含めた動植物の進化や生態系の変化の動態を詳しく紹介する。これらの知識は、近未来の予測や我々の未来を考える上で極めて重要な科学的な知見を提供する。
各分野の日本最高の専門家により、最新情報に関する数多くのカラー図・写真を独自に作成し、初学者にも理解しやすいように丁寧に解説した。
目次
第1章 第四紀の地質年代的位置づけ
第2章 第四紀の環境変動の代替記録
第3章 第四紀の気候・海水準変動
第4章 気候変動に伴う植生変化と植物の絶滅過程
第5章 更新世の哺乳類の進化と絶滅
第6章 人類の進化
第7章 日本列島の動植物の成立過程
第8章 環境変動(近過去・現在)に対する生物の応答
付録 和名・学名対照表
著者等紹介
北村晃寿[キタムラアキヒサ]
1990年金沢大学大学院自然科学研究科物質科学専攻博士課程修了。現在、静岡大学大学院理学研究科教授、同防災総合センターセンター長、学術博士。専門:古生物学、第四紀学、地質学
高井正成[タカイマサナル]
1992年京都大学大学院理学研究科博士後期課程学位取得退学。現在、京都大学総合博物館教授、博士(理学)。専門:古脊椎動物学、霊長類学
百原新[モモハラアラタ]
1989年大阪市立大学大学院理学研究科後期博士課程中退。現在、千葉大学大学院園芸学研究院教授、理学博士。専門:植生史学、植物生態学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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