出版社内容情報
平均的なレベルの物理学科の大学生にあわせた「統計力学」の教科書である。まず、統計力学の理論的基礎である小正準分布(ミクロカノニカル分布)が多くの例とともに詳細に解説される。その後、より実用的な正準分布(カノニカル分布)が小正準分布の理論に基づいて導入され、これを用いて「局在電子による常磁性」「格子振動による固体の比熱」「熱放射」など具体的な問題の熱力学的性質が調べられる。さらに、大正準分布(グランドカノニカル分布)が導入され、これを用いて「量子気体」である「電子系」「Bose凝縮転移」の性質が議論される。
本書では、常磁性、熱放射や結晶格子振動と自由電子の寄与による金属の比熱など、応用例がバランスよく含まれ、実用にも配慮されている。そして、読者の理解を深め、計算力を培うため、章末に演習問題およびその解答を入れている。
目次
第1章 統計力学のための準備(統計力学について;確率と統計についての補足;積分;熱力学のまとめ;1章の問題)
第2章 小正準分布(ミクロカノニカル分布)(等確率の原理;量子力学による箱の中の自由粒子の取り扱い ほか)
第3章 正準分布(カノニカル分布)(正準分布の定義;正準分布による自由粒子 ほか)
第4章 大正準分布(グランドカノニカル分布)(大正準分布の定義;量子力学における同種粒子;自由Fermi粒子;自由Bose粒子)
第5章 各章の問題の解答(1章の問題の解答;2章の問題の解答;3章の問題の解答;4章の問題の解答)
著者等紹介
糸井千岳[イトイチガク]
1985年日本大学大学院理工学研究科物理学専攻博士後期課程修了。現在、日本大学理工学部物理学科特任教授、理学博士。専門:統計物理学、数理物理学
糸井充穂[イトイミホ]
2004年東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻博士後期課程修了。現在、東京都市大学理工学部自然科学科教授、博士(学術)。専門:物質科学
鈴木正[スズキセイ]
2002年東北大学大学院理学研究科物理学専攻博士後期課程修了。現在、埼玉医科大学医学部教養教育物理学教室准教授、博士(理学)。専門:統計物理学、物性理論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。