出版社内容情報
本書は、物理の専門家でない読者を対象に、数式を一切使わず、Q&Aの形で比喩などを使って、量子物理の基本的な考え方と最近の応用を易しく丁寧に紹介した一書である。
基本的な考え方については、標準的解釈に基づいて、古典物理とはどのように異なるか、また我々の日常の直感にいかに反するものかという点を強調して、量子状態、ユニタリ発展、測定過程などが易しく丁寧に説明されている。
応用については量子通信、ベルの不等式の破れ、量子テレポーテーション、量子コンピューティングなど最近大きく注目されている量子情報分野、および原子時計や原子干渉による重力計などの計測分野が取り上げられており、最近の技術の進歩を把握するのに十分な領域がカバーされている。さらに、量子場の考え方や量子力学の解釈問題も課題として扱っている。
[原著: Quantum Physics: What Everyone Needs to Know, Oxford University Press, 2017]
目次
第1章 量子物理
第2章 量子測定とその結果
第3章 応用:量子的なデータ暗号化
第4章 量子的な振る舞いとその記述
第5章 応用:量子干渉による重力のセンシング
第6章 量子的な可能性と波
第7章 マイルストーンと分岐点
第8章 ベルテストと局所実在論の終焉
第9章 量子もつれとテレポーテーション
第10章 応用:量子コンピューティング
第11章 エネルギーの量子化と原子
第12章 応用:量子技術を使った時間、運動、重力のセンシング
第13章 量子場とその励起
第14章 量子科学が将来向かう方向と残された課題
著者等紹介
レイマー,マイケル[レイマー,マイケル] [Raymer,Michael G.]
1979年にコロラド大学においてPh.Dを取得し、ロチェスター大学光学研究所勤務を経てオレゴン大学光学センターの創立所長となった。現在はオレゴン大学教養・科学および物理学教授。彼の専門は光の量子論と原子、分子、半導体との相互作用、およびその非線形光学、通信技術、量子情報への応用である。1993年に彼のグループは光の量子状態トモグラフィーを初めて実証した。アメリカ物理学会、光学会のフェローでもある
占部伸二[ウラベシンジ]
1975年東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻修士課程修了。現在、大阪大学名誉教授、工学博士。専門、量子エレクトロニクス(特にイオントラップを使った量子計測、量子情報処理)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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