出版社内容情報
近年,物理の理論は難しいというイメージを持つ学生が多い。それは,難しい数式を解析的に扱うためには,高度な数学力を必要とするからである。
一方,最近のコンピューター技術の急速な進歩に伴って,物理の数式を手で解くのではなく,計算機を使って解く研究が発展してきた。
このような研究は計算物理学と呼ばれ,実験物理学・理論物理学と並ぶ新しい物理学の柱となっている。
計算物理学の手法を使えば,難しい数学を使わなくても,物理の方程式をパソコンにインプットするだけで,数値的に解いてグラフが描けるばかりでなく,解析的には解けない方程式を,スーパーコンピューターを使って高精度の数値解を与え,最先端の研究への近道をも与えてくれる。
本書は,この計算物理学の初歩的な手法を紹介するとともに,最先端の研究につながる計算機実験への入門を目的とする。
すべての章を順を追って読む必要はなく,各自の目的や興味に応じて,必要な章だけピックアップして読み進めることができるように構成されている。
本書をきっかけとして,計算物理学を楽しむ学生が増えることを期待したい。
はじめに
1 計算物理学における誤差
2 方程式の解法
例題1【ニュートン法】
例題2【二分法】
3 連立方程式I
例題3【連立方程式のニュートン法】
4 連立方程式II
例題4【ガウスの消去法】
5 数値微分
例題5【リチャードソンの外挿法】
6 数値積分
例題6【台形法】
例題7【シンプソン法】
7 微分方程式
例題8【オイラー法】
例題9【2次のルンゲクッタ法】
例題10【4次のルンゲクッタ法】
8 2階常微分方程式
例題11【2 階常微分方程式の4次のルンゲクッタ法】
9 行列の数値対角化I
例題12【べき乗法】
例題13【ランチョス法】
10 行列の数値対角化II
例題14【非対角成分の消去】
例題15【ヤコビ法】
11 最小二乗法
例題16【1変数の最小二乗法】
例題17【2変数の最小二乗法】
12 補間
例題18【ラグランジュ補間】
例題19【スプライン補間】
13 フーリエ解析
例題20【フーリエ級数】
例題21【複素フーリエ級数】
例題22【フーリエ変換】
例題23【離散フーリエ変換】
14 乱数
例題24【一様乱数】
例題25【指数型分布の非一様乱数】
例題26【ガウス分布の非一様乱数】
15 モンテカルロ積分
例題27【モンテカルロ積分】
例題28【モンテカルロ多重積分】
16 モンテカルロ・シミュレーション
例題29【ランダムウォーク】
例題30【放射性原子核の崩壊】
17 量子力学・統計力学の多体模型
例題31【量子スピンの交換相互作用】
例題32【量子スピン系の熱力学】
例題33【イジング模型の内部エネルギー】
18 数値対角化の量子多体問題への応用
例題34【ハイゼンベルグ模型の状態数】
例題35【ハミルトニアンの演算】
例題36【行列要素の計算】
19 モンテカルロ法の統計力学への応用
例題37【イジング模型のモンテカルロ・シミュレーション】
20 量子モンテカルロ・シミュレーション
例題38【ハイゼンベルグ模型の量子モンテカルロ・シミュレーション】
例題39【量子モンテカルロ・シミュレーションの行列要素】
21 さらに勉強したいひとのために
A 発展問題の解答
目次
計算物理学における誤差
方程式の解法
連立方程式
数値微分
数値積分
微分方程式
2階常微分方程式
行列の数値対角化
最小二乗法
補間
フーリエ解析
乱数
モンテカルロ積分
モンテカルロ・シミュレーション
量子力学・統計力学の多体模型
数値対角化の量子多体問題への応用
モンテカルロ法の統計力学への応用
量子モンテカルロ・シミュレーション
さらに勉強したい人のために
著者等紹介
坂井徹[サカイトオル]
1991年東京大学大学院理学系研究科博士課程中退(1992年博士(理学))。1991年姫路工業大学理学部物質科学科助手。フランス・Paul Sabatier大、Laue‐Langevin研究所博士研究員を経て、2001年東京都立科学技術大学工学部助教授。2002年東北大学大学院理学研究科助教授。東京大学物性研究所客員助教授を経て、2005年日本原子力研究開発機構グループリーダー。2013年日本原子力研究開発機構ユニット長。兵庫県立大学大学院物質理学研究科客員教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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