出版社内容情報
生物は一言でいえば「増殖しながら生きている物」だが、増殖することと生きることに対して、DNA分子が重要な働きをしている。増殖については、DNAはコピーするのに容易な構造をもっているのでわかりやすい。一方で、生きること、すなわち生物が形をつくり活動することにDNAがどのように働いているのかを読み解くことは簡単ではない。
本書では、形づくりに関するDNAの働きを大観したうえで、数理モデルを用いてDNA?タンパク質?細胞の経路が形づくりにつながることを説明する。その範囲は、身近な哺乳類の胚盤胞、神経管などいくつかの多細胞体の形から、不思議な立体異性体として知られている初期心臓のらせん構造にまで及ぶ。
内容説明
自然科学の各分野におけるスペシャリストがコーディネーターとなり、「面白い」「重要」「役立つ」「知識が深まる」「最先端」をキーワードにテーマを選びました。第一線で研究に携わる著者が、自身の研究内容も交えつつ、それぞれのテーマを面白く、正確に、専門知識がなくとも読み進められるようにわかりやすく解説します。
目次
1 DNAからの何が形をつくるか
2 限られたDNA情報がさまざまな形をもたらす仕組み
3 物理の世界での形づくりを眺める
4 多細胞動物の形の特性とこれをつくり上げる細胞
5 多細胞動物の形態形成のための数理モデル
6 バーテックス・ダイナミクスとその応用
7 細胞の力が細胞の並び替えを起こす
8 組織がらせんにねじれる
9 DNAから形ができるまで
著者等紹介
本多久夫[ホンダヒサオ]
1971年京都大学大学院理学研究科博士課程単位修得退学(物理学)。現在、兵庫大学名誉教授、神戸大学医学研究科客員教授、理化学研究所客員主管研究員、理学博士。専門、発生生物学、理論生物学
巌佐庸[イワサヨウ]
1980年京都大学大学院理学研究科博士課程修了。現在、九州大学名誉教授、理学博士。専門、数理生物学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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