出版社内容情報
人の感性を定量化するメソッドとしてのオノマトペの強みと面白さを解説。言語・認知・工学,産業界と幅広く活用される可能性も紹介。
目次
1 日常に欠かせないオノマトペ
2 さまざまな分野で研究されるオノマトペ
3 オノマトペの強み
4 オノマトペの音に感覚が結びつくことを示す科学実験
5 擬音語を数値化してみる
6 あらゆるオノマトペを数値化するシステムへの拡張
7 オノマトペを数値化するシステムの産業応用
8 オノマトペを数値化するシステムでもっと個人に寄り添う
著者等紹介
坂本真樹[サカモトマキ]
1998年東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻博士課程単位取得退学。現在、電気通信大学大学院情報理工学研究科教授、博士(学術)。人工知能先端研究センター教授、オスカープロモーション所属。専門は感性情報学、人工知能、認知科学
鈴木宏昭[スズキヒロアキ]
1988年東京大学大学院教育学研究科学校教育学専攻博士課程単位取得退学。現在、青山学院大学教育人間科学部教育学科教授、博士(教育学)。専門は認知科学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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myc0
12
『いい男は「や行」でねぎらう いい女は「は行」で癒す』とか『怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか』が好きな人は、この本も好きだと思う!日本語の魅力はたくさんあるけど、オノマトペもその一つ。言葉で説明できないのに、感覚的に共有できる色々な言葉たち。言葉にはするのは大変だけど、その身体的感覚を数値化することでオノマトペを解明していく凄い仕組み!難解だけど、とても面白かったです。さくっと読める1冊だけど、たくさんの研究からこの本が生まれていると思うと、それもまたグッとくる。2021/06/29
kenitirokikuti
10
言語学寄りの内容と思って手に取ったら、産業分野への応用であった。ヒトの感性を定量的に評価するには1957年につくられたSD法(意味微分法)が使われてきた。熱い-冷たいなど形容詞対の間で5あるいは7段階評価するもの。しかし、著者たちの研究によると、より体感的な感覚については形容詞対よりもオノマトペ(つるつる、ぴかぴか、ふわふわ等)の方が高い精度が得られたそうである。これを触覚・味覚・視覚印象・音質などにも適用、そしてオノマトペの数値化も行う(擬音語の印象を子音行・濁音・拗音・母音・語尾の線形和で現わすモデル2019/10/09
こたろう
2
オノマトペを音と人の感じ方から数値化を試みた研究内容の紹介。オノマトペの解説や分析という内容ではなく、著者の過去に取り組んだ研究内容についての紹介がメインの本。数値化する部分について、詳しく知りたいと思っている人は、その部分については詳説されていないので、注意が必要。オノマトペをどのように応用できるのかについて知りたい人は、著者の応用例が参考になると思う。味覚・触覚・痛覚などへの応用を取り組んだ内容が記載されている。2019/08/07
in medio tutissimus ibis.
1
痛みや質感どころか味についてもオノマトペで情報を凝縮して伝えることができるというのは面白いと思った。でもよく考えれば日常生活でも、細かな情報を一つ一つ発信しているのではなく、なんか一言で状況を説明しようとまとめがちではある。そういう時には名刺や形容詞よりもっとふわっとしている擬態語などの方が便利なのかもしれない。そうしているうちに本当は表していないような味覚についての情報も盛り込まれていくんだろうか(文化説)。それとも味覚には感情や感触も重要だというからそこから味覚がなくても味覚が導かれるのか(生理説)。2023/08/27
ニッポニテスは中州へ泳ぐ
1
☆=4/5 オノマトペは言語の中でも周縁的な位置づけにあるが、豊かな言語機能を持つ。その意味では、「ジェスチャー」や「レトリック」と似た位置づけにある(『レトリックの記号論』『mind in motion』参照)。 感性の微妙な差異を言い分けるべき状況では形容詞(あたたかい)よりもオノマトペ(ぽかぽか、ほかほか)の方がたくさんの情報量を伝えられるという話には納得。 他にも著者の開発した「オノマトペの生成システム」が興味深かった。こいつぁオノマトペの周期表だ!すごい。2020/11/14