出版社内容情報
「死」は,多くの人にとって,なるべく遠ざけておきたいものでしょう。しかし,生あるものには必ず「死」が訪れ,逃れることはできません。なぜ生き物は死ぬのでしょうか? なぜ永遠に生きていることができないのでしょうか?
生物はもともと,自ら分裂して増殖(無性生殖)する「1 倍体生物」しかいませんでした。つまり,生物が誕生した当時,「死」は存在しなかったのです。ところが,進化の過程で,雌雄が合わさって増殖(有性生殖)する「2倍体生物」があらわれました。分裂して増殖するだけの1倍体生物とことなり,2倍体生物は雌雄の遺伝子が混ざり合うため,ことなる性質をもつ個体が誕生します。つまり,「寒さに強い」とか「体が大きい」などの多様性が生まれるのです。
個体が成長すると,親は死にます。しかし,少しずつ性質のことなる遺伝子を残し,多様性を増すことができれば,たとえば急激な環境の変化がおきたとき,それに対応できる遺伝子をもつ個体は生き残ることができ,種の絶滅を防ぐことができます。生物を取りまく環境は常に変化し,その変化に耐えられなければ,生物は絶滅してしまいます。つまり,死は生命をつなぐための“戦略”であり,生物が進化していくための原動力ともいえるのです。
本書は,「死とは何か」を,科学的な視点でひもといていくニュートン先生の講義です。この本を読めば,今まで見えなかった「死」についての新たな側面が見えてくることでしょう。
【目次】
1時間目
「生」と「死」の境界線
「死」を理解する第一歩は「死因」の特定
温度,水分,酸素……命はどこまで耐えられる?
人の「死」を決定づける三つの特徴
生命維持の要は「脳幹」
似ているけど全然ちがう,植物状態と死
意識はあるのに体が動かない「閉じ込め症候群」
現代のもう一つの死「脳死」
死んだ個体と生きている個体は何がちがう?
死んだ生き物の体は,時間がたつとくずれていく
2時間目
死につつある体では何がおきるのか
臓器の機能低下が心停止をまねく
心臓は,突然停止することがある
心臓が止まると,すぐに脳細胞の死がはじまる
心肺停止は3分間が勝負
死の間際,脳は最後の信号を出す
死後数時間で,全身の筋肉は固くなる
命が尽きても,臓器は生き続ける
死は予測できるのかもしれない
年齢が高くなるほど死への恐れが少なくなる
3時間目
死へとつながる老化
脳の老化は20代からはじまる
脳が老化すると,体の動きがにぶくなる
筋肉は「速筋」から衰えていく
筋肉が衰えると,生命維持機能が低下する
基礎代謝が落ちて体が太る
骨の老化「骨粗しょう症」
老化の象徴「しわ・白髪」
4時間目
細胞の死と,人の寿命
毎日4000億個の細胞が死んでいる
自死には「定期券タイプ」と「回数券タイプ」がある
回数券タイプの細胞の自死「アポトーシス」
「テロメア」が細胞の老化具合を決める
「活性酸素」が細胞を老化させる
がんは,テロメアを操作して不死化する
脳細胞の死が進みすぎるアルツハイマー病
人類は死をどこまで遠ざけられるのか?
寿命は有性生殖からはじまった
ゾウリムシに見る死のしくみ
DNAの変異が進化に結びつく!?
生物の寿命を決める要因は,よくわからない
内容説明
死は進化の原動力だ!「生と死の境界線とは?」「生物はなぜ老いるのか?」「寿命はなぜ生まれたのか?」…死の不思議を丸ごと解説!
目次
1時間目 「生」と「死」の境界線(「死」を理解する第一歩は「死因」の特定;温度、水分、酸素…命はどこまで耐えられる?;人の「死」を決定づける三つの特徴;生命維持の要は「脳幹」;似ているけど全然ちがう、植物状態と死;意識はあるのに体が動かない「閉じ込め症候群」;現代のもう一つの死「脳死」;死んだ個体と生きている個体は何がちがう?;死んだ生き物の体は、時間がたつとくずれていく)
2時間目 死につつある体では何がおきるのか(臓器の機能低下が心停止をまねく;心臓は、突然停止することがある;心臓が止まると、すぐに脳細胞の死がはじまる;心肺停止は3分間が勝負;死の間際、脳は最後の信号を出す;死後数時間で、全身の筋肉は固くなる;命が尽きても、臓器は生き続ける;死は予測できるのかもしれない;年齢が高くなるほど死への恐れが少なくなる)
3時間目 死へとつながる老化(脳の老化は20代からはじまる;脳が老化すると、体の動きがにぶくなる;筋肉は「速筋」から衰えていく;筋肉が衰えると、生命維持機能が低下する;基礎代謝が落ちて体が太る;骨の老化「骨粗しょう症」;老化の象徴「しわ・白髪」)
4時間目 細胞の死と、人の寿命(毎日4000億個の細胞が死んでいる;自死には「定期券タイプ」と「回数券タイプ」がある;回数券タイプの細胞の自死「アポトーシス」;「テロメア」が細胞の老化具合を決める;「活性酸素」が細胞を老化させる;がんは、テロメアを操作して不死化する;脳細胞の死が進みすぎるアルツハイマー病;人類は死をどこまで遠ざけられるのか?;寿命は有性生殖からはじまった;ゾウリムシに見る死のしくみ;DNAの変異が進化に結びつく!?;生物の寿命を決める要因は、よくわからない)
著者等紹介
小林武彦[コバヤシタケヒコ]
東京大学定量生命科学研究所ゲノム再生研究分野教授。博士(理学)。1963年、神奈川県生まれ。九州大学大学院医学系研究科博士課程修了。専門は分子遺伝学、ゲノム生物学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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