出版社内容情報
地図は単に,地形や空間を視覚的に描くだけでなく,「時間」も表すことができます。ヨーロッパ,アメリカ合衆国,南アメリカ,そして日本をはじめとするアジアで作成された地図は,実に独創的で刺激に満ちた方法を使って時間を表現してきました。
本書は,過去500年間の世界中の地図を対象に,地図がどのように時間を表現してきたのかを解き明かしていきます。テノチティトランの創建を記録したアステカ人,ノスタルジックな景観を地図に表現した近世日本人,ディープタイムという新たな概念を取り込んだ19世紀アメリカ人。本書に掲載された100点を超える地図とイラストは,地図における時間表現の多様性を雄弁に物語っています。
「時間」という視点から見えてくる地図の隠された魅力とは? 9人の研究者による9つの刺激的な論考を通して,地図が語る時間の世界をお楽しみください。
【目次】
序 章 地図は時を語る
第1章 20世紀(および21世紀)における地図の時間
第1部 アジア太平洋
第2章 近世日本における過去の位置づけ
第3章 中国と朝鮮のイエズス会地図:過去と現在の接続
第2部 大西洋世界
第4章 アステカ帝国の地図に描かれた歴史
第5章 時のベールを剥ぐ:17~18世紀における地図,比喩,好古趣味
第6章 言語の地図
第3部 アメリカ合衆国
第7章 アメリカ初のディープタイム地図
第8章 場所はいかにしてプロセスとなったか:アメリカにおける時間の地図化の起源
第9章 時間,旅,および戦争景観の地図化