出版社内容情報
発達障害は、主に「自閉スペクトラム症(ASD)」「注意欠如多動症(ADHD)」「学習障害(LD)」の3タイプに分けられます。いずれにしても「生まれつきの脳の特性」であり、個人の心の弱さや努力不足、親の育て方とはまったく関係がない点は、正しく認識していただきたい大切なことです。
本書は最新の脳科学と行動心理学をもとに、症状別の特性や脳との関係、治療薬の有無、周囲の人や仕事との上手な関わり方など、発達障害の基本や現状、症状に対するくふうのしかたについて、やさしく解説しています。また近年話題になっている「大人の発達障害」や、発達障害を脳機能の多様性ととらえ、特性を生かせる社会をめざす「ニューロダイバーシティ」という考え方、その実際の取り組みについても紹介しています。
本書が発達障害をかかえる人にとっても、周囲の人にとっても、より理解を深め、「たがいに尊重し合いながら生活できる社会」をめざすための一助となれば幸いです。
【目次】
はじめに
第1章 発達障害とは何か?
発達障害は、脳神経の発達ぐあいで生じる特性
発達障害は、大きく分けて3タイプある
10人に1人は発達障害かもしれない
原因は、脳のネットワークがうまく発達しないこと
腸内環境が影響している?
発達障害がひきこもりの引き金になることもある
大人になってから気づく人も増えている
発達障害の自己診断はむずかしい
第2章 空気を読むのが苦手な自閉スペクトラム症( ASD)
ASDの二つの症状
コミュニケーションが苦手なASD
自閉症とアスペルガー症候群がASDにまとめられた
男子の有病率は女子の約2倍?
「心の理論」がうまくはたらかない?
光、音、においなどの感覚刺激に敏感
不要な神経回路がまびかれず、「共感覚」をともなう人もいる
「サヴァン症候群」はASDの人に多い
細部の情報が脳で優先的に処理される
コミュニケーションを支える脳のはたらきが弱い
脳の体積がかたよっている傾向がある
脳の炎症が影響しているかもしれない
ASDの原因は遺伝?
脳の発達には、さまざまな要因が関係する
ASDの特効薬はある?
第3章 不注意や多動が目立つ注意欠如多動症( ADHD)
ADHDの症状は3タイプ
そわそわしてみえる多動・衝動性優勢型
ぼんやりしてみえる注意欠如優勢型
人によって症状がことなる混合型
ADHDは脳の「報酬系」と関係がある
目先の報酬を優先してしまう
脳の「基底核」が通常より小さい
「ワーキングメモリ」が低下している人が多い
小脳の不具合でもたらされる時間感覚のずれ
脳がうまく休めず、注意力が低下する
ダ・ヴィンチもモーツァルトもADHDだった?
脳の情報伝達を改善する、ADHD治療薬
第4章 学習に困難が生じる学習障害( LD)
学習障害は三つに分類される
クラスに1~2人はLD
LDの人が抱える読み書きの障害
文字の読みに困難さを抱えるディスレクシア
数をあつかう脳の部位に不具合がある算数障害
LDは早期発見が重要
我が子がLDかもしれないと思ったら
LDとはことなる知的障害や境界知能
「できること」をほめて伸ばそう
第5章 発達障害と心の病
心の病を防ぐには、自分の特性を理解することが重要
ほとんどのASDは合併症をともなっている
不安・うつ病と発達障害
発作をくりかえす「てんかん」との関係
発達障害の人におこりやすい睡眠障害
捨てられない・片付けられないとADHDの関連
依存症になるリスクが高いASDとADHD
ギャンブル依存症はADHDと併発しやすい
スマートフォンやゲーム依存につながる、ASDの「のめりこみやすさ」
依存の対
内容説明
大人の発達障害との向き合い方もわかる。ダ・ヴィンチもモーツァルトもADHD注意欠如多動症だった?
目次
第1章 発達障害とは何か?
第2章 空気を読むのが苦手な自閉スペクトラム症(ASD)
第3章 不注意や多動が目立つ注意欠如多動症(ADHD)
第4章 学習に困難が生じる学習障害(LD)
第5章 発達障害と心の病
第6章 発達障害と上手に付き合うには
著者等紹介
山末英典[ヤマスエヒデノリ]
浜松医科大学精神医学講座教授。医学博士。2006年東京大学大学院医学系研究科卒業。専門研究領域はPTSDや統合失調症などの精神疾患の脳画像研究。現在は、ASDの脳神経基盤解明と治療薬開発を中心に研究を進めている。2018年日本医療研究開発機構AMED理事長賞、2023年CINP Clinical Research Awardを受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。