出版社内容情報
死は,人がさけることのできない運命です。誰もが一度は死に思いをめぐらせ,ばく然とした不安を感じたことがあるでしょう。では,死ぬとはいったいどういうことなのでしょうか。人はなぜ死をむかえなければならないのでしょうか。死とは単純にこわいものというだけでなく,生物に進化と適応をもたらしてきた側面もあります。この本では,死に向かう体では何がおきているのかといった生と死の境界線や,細胞がもつ死や寿命のメカニズム,さらには死を間近にしたときの心の変化など,さまざまな切り口で死についてせまります。科学を通して死と向き合うことで,きっと死に対してこれまでとはちがう印象を受けるようになるでしょう。
内容説明
生と死の境界はどこにあるか、死は克服できるのか、死と寿命の不思議にせまる。
目次
プロローグ 「死」は生きる者の宿命なのか?
1 生と死の境界線とは
2 死にゆく体でおきること
3 細胞はどのように死ぬのか
4 死と寿命の不思議
5 死と向かい合う心理
エピローグ ヒトは科学で死を克服できるか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
チャー
20
死という現象やその仕組み、捉え方について説明した本。図やイラストを多用しながらわかりやすく解説されている。加齢により生じる細胞の変化や死が訪れるまでに起こる変化など科学的な側面からの説明は興味深い。物理的な状態として、各種臓器の機能が停止した状態が死であるが、その瞬間前後で体を構成する元素に変化はほぼないようだ。血流が止まると脳へのダメージは甚大で神経細胞が真っ先にやられる。長寿遺伝子など寿命に関わる細胞の研究も進んでいるとのこと。使っていない筋肉はどんどん衰える点は、定期的な運動の必要性を感じた。2025/01/12
はじめさん
13
生と死。我々人間が太古から常に向き合ってきたもの。人が死ぬと肉体にどのような変化が起こるのか。どっかの内臓悪くすると、最終的に心臓が弱って停止=死ぬ。臨死体験なんかについても軽く触れている。本の後半は、さまざまな細胞についてのレクチャーや老化について。個体が増えすぎないように、老い=ゆるやかな死がインプットされている? 父と母から二対のDNAをもつ生物は等しく死ぬ。細菌は一対である種の不死。ミドリムシ先輩は二対、700回くらい分裂すると死ぬ。ヒトとしての個体として死ぬも、細胞が生き続けているヒーラ細胞凄い2023/07/14
シロうさぎ
5
ニュートンらしく、宗教的概念のない純粋な科学本です。対象が14歳からとなってますが、「生物の死」を通して生物学的・医学的な行程や機構に興味を持つ切っ掛け本としては良いかしら。「年を取ると急速に速筋が衰える・・・」が、自分、まずいよなぁ~。と思った。2024/10/06
アンゴ
2
★★★★☆ 中高生向け科学解説読本 感情、感覚といった主観とあやふやな拙い知識で語りがちなテーマに対して、科学的事実に依拠して仮説を含め理論として解釈されたこととまだ解明できていないことを整理してみせる。 難解な内容も前後で関連付けされたトピックを立て、絵でイメージさせ興味を抱かせることで、科学的思考へ誘う入口を果たす意図がうかがえる。 大人が既知知識をおさらいし、未知部分を補足するのに十分耐える。ここから興味が湧いたトピックを深堀りすれば効率的。2023/01/05
dogufs
0
「死」をサイエンスの方面から描くニュートンらしい小冊子だ。 「性」を持ち有性生殖する2倍体の生物はそのシステム内に「死」を内在する。というのは生物学的な知識としては知っているけど掘り下げて考えると実に深く、人間と機械やAIとの融合にまで触れられていた。 【死について考えることが、「性」のしくみや、「生命とは何なのか」といった深淵なテーマにつながっていくのです。】 【生と死をめぐる科学と技術は、私たち 一人一人の生き方だけでなく、人類の文明そのものを変えていく可能性があるといえるでしょう。】 2024/07/09
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