内容説明
本書は、人間の本性の一つともいうべき「怒り」をめぐり、当代随一の哲学者たちが議論を戦わせた記録である。
目次
第1部 問題提起(怒りについて)
第2部 応答と論評(暴力の選択;損害の王国;被抑圧者の怒りと政治;怒りの社会生活 ほか)
第3部 インタビュー&論考集(ラディカルな命の平等性;怒りの歴史;被害者の怒りとその代償;誰の怒りが重要なのか ほか)
著者等紹介
カラード,アグネス[カラード,アグネス] [Callard,Agnes]
シカゴ大学の哲学科准教授。主な専門分野は古代哲学と倫理学。ハンガリー、ブタペストのユダヤ人家庭に生まれる。5歳のとき移民としてアメリカに渡り、のち市民権を得る。研究活動のほかに雑誌やニューヨーク・タイムズ紙への寄稿など旺盛な執筆活動でも知られ、公共哲学の実践にも努めている
小川仁志[オガワヒトシ]
哲学者・山口大学国際総合科学部教授。京都大学法学部卒、名古屋市立大学大学院博士後期課程修了。博士(人間文化)。徳山工業高等専門学校准教授、米プリンストン大学客員研究員等を経て現職。「哲学カフェ」を主宰したり、NHKの哲学番組に多数出演するなど哲学の普及に努めている。専門は公共哲学
森山文那生[モリヤマフナオ]
実務翻訳者・出版翻訳家。米国系金融機関勤務を経て翻訳者に転身。コンサルティング・ファーム、ニュースメディア、メガバンクで社内翻訳者を経験し、近年は出版翻訳も手掛ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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テツ
18
怒りから生じる後先考えない行動により人間関係が破綻したり物質を破壊してしまったりという結果に至るのが問題なのであり、怒りという感情そのものは否定したり過度に抑制する必要がないのではないかというお話。アンガーマネジメント的なテクニックが持て囃される昨今ではなかなか目にしない怒りという感情への肯定的な意見。何にせよ自分の内側に怒りの炎が燃え盛ったのなら、それが何によるものなのかを自分自身でしっかりと把握しないといけませんね。怒りを肯定しながらそれを飼い慣らし自らのために使い熟す方法だっておそらく存在する。2022/10/21
田中峰和
7
本書は「悪い世界で人は善い存在でいられるか」がポイント。要は「他人に嫌なことをされても、その問題がなくならない限り怒り続けるのは当然」と従来から否定されてきた怒りを肯定するというのが主張の核だ。怒りが取り返しのつかない事故や事件に至るケースも多く、企業研修でもアンガー・マネジメントが取り入れられるのが昨今の状況。怒りはコントロールできないとなめなのか。否定すべきものなのか。正しい怒りは存在するのか。哲学者の論考を巡り、様々な観点や立場、角度から深められていく。怒りについて他者の考えを知ることができた。2022/02/21
よっちん
0
研究室2023/05/17
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