出版社内容情報
「熊は君を殺したかったわけじゃない。印を付けたかったんだよ。
今、君はミエトゥカ、二つの世界の間に生きる者になった」
カムチャツカの火山の裾野の森で先住民族を研究している29歳の人類学者が、熊に顔を齧られ九死に一生を得るという体験をもとに、みずからの変容と再生の軌跡を追ったノンフィクション。
重傷を負いながらスパイの疑いをかけられてロシア秘密警察の聴取を受け、複数回の再手術や事件のフラッシュバックに苦しみながらも、身体と心の傷を癒し、熊と出会った意味を人類学者として考えるために再びシベリアに戻っていくが-―。西洋の世界観とシベリア先住民の世界観、人間の世界と動物(熊)の世界の境界線が崩壊し、これまで自分だと思っていた輪郭も粉々に砕けてゆく……。近年注目の「マルチスピーシーズ人類学」の観点からも関心を集めるであろう一冊。
【18か国で刊行、フランスで11万部のベストセラー!】
※ミエトゥカ…エヴェン語で「熊に印をつけられた者」。熊と出会って生き延びた者は、半分人間で半分熊であると考えられている。
【目次】