出版社内容情報
1990年代初頭に、自分がある行為をしているときも、他者がその行為をしているのを見ているだけのときも、同じように活性化する脳の神経細胞が見つかった。鏡のように他者の行為を映すことから“ミラーニューロン”と名付けられたこの神経細胞の発見は「DNAの発見にも匹敵する」とも言われ、脳科学のみならず、心理、教育、社会学、人類学、芸術など様々な分野に今なお衝撃を与え続けている。学習や模倣、コミュニケーション、さらには情動の伝播・共有を説明する鍵として注目を集めるミラーニューロンの発見過程と秘めたる可能性を、発見者自らが科学的に解き明かす。
【目次】
はじめに
1.運動系
一杯のコーヒー
前頭運動野の構成
頭頂-前頭の回路
最初の結論
2.行動する脳
動きと運動行為
視覚-運動特性
把持回路
視覚経路
行為の語彙
手で見る
3.周りの空間
物へ手を伸ばす
体の座標
近くと遠く
ポアンカレの決闘
空間の動的な概念
さまざまな行為で届く範囲
4.行為の理解
標準ニューロンとミラーニューロン
摂食とコミュニケーション
上側頭溝・下頭頂小葉との連絡
ミラーニューロンの機能
行為の視覚表象と運動理解
行為のメロディと意図の理解
5.ヒトのミラーニューロン
初期の証拠
脳画像の研究
ヒトのミラーニューロンによる他者の意図の理解
語彙の違い
6.模倣と言語
模倣のメカニズム
模倣と学習
身振りによるコミュニケーション
口、手、声
7.情動の共有
情動の役割
ライル島で嫌悪を共有する?
共有と情動の彩り
解説
訳者あとがき
原注
参考文献
【著者】
ジャコモ・リゾラッティ(Giacomo Rizzolatti)
1937年生まれ。世界的に有名な神経生理学者。パルマ大学名誉教授。1990年代初め、同大の人間生理学教授、神経科学科長として指揮した研究チームがミラーニューロンを発見。大脳皮質の運動系とミラーニューロンに関する研究は、「サイエンス」「ニューロン」「米国科学アカデミー紀要」「パブリック・ライブラリー・オヴ・サイエンス」「ブレイン」「トレンズ・イン・ニューロサイエンスィズ」などの権威ある科学専門誌に掲載され、認知科学の議論に重大な影響を与えてきた。2006年当時、欧州学術院会員、アカデミア・ナツィオナーレ・デイ・リンチェイ会員、アメリカ芸術科学アカデミー外国人名誉会員、フランス科学アカデミー外国人名誉会員、フィッセン財団科学委員。おもな受賞歴にゴルジ生理学賞、認知神経生理学会ジョージ・ミラー賞、2007年度グロマイヤー心理学賞、アカデミア・ナツィオナーレ・デイ・リンチェイのフェルトリネリ医学賞がある。
コラド・シニガリア(Corrado Sinigaglia)
1966年生まれ。ミラノ大学科学哲学教授。数年にわたってルーヴァン、パリ、ケルンで知覚の現象学と行為の哲学を研究。科学と数学の歴史、認識論、確率の基礎に関する諸論文の著者でもある。2007年当時、イタリア論理学・科学哲学協会運営委員、科学振興のための「ピエロ・カルディローラ」国際センター会員。
【翻訳】
柴田裕之(しばた・やすし)
1959年生まれ。翻訳家。早稲田大学理工学部、アーラム大学卒。訳書にハラリ『ホモ・デウス』『サピエンス全史』(以上、河出書房新社)、ベジャン『流れとかたち』『流れといのち』『自由と進化』、コーク『身体はトラウマを記録する』(以上、紀伊國屋書店)、コルカー『統合失調症の一族』(早川書房)、ガロー『格差の起源』(監訳、NHK出版)、ファーガソン『大惨事の人類史』(東洋経済新報社)ほか多数。
【監修】
茂木健一郎(もぎ・けんいちろう)
1962年生まれ。ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。東京大学大学院特任教授。専門は脳科学、認知科学。著書に『脳とクオリア』(講談社学術文庫)、『脳と仮想』(第4回小林秀雄賞、新潮社)、『今、ここからすべての場所へ』(第12回桑原武夫学芸賞、筑摩書房)、『クオリアと人工意識』(講談社現代新書)ほか。IKIGAIやNAGOMIに関する英語の著作が多くの言語に翻訳されている。
内容説明
1990年代初頭に、自分がある行為をしているときも、他者がその行為をしているのを見ているだけのときも、同じように活性化する脳の神経細胞が見つかった。鏡のように他者の行為を映すことから“ミラーニューロン”と名付けられたこの神経細胞の発見は、脳科学のみならず様々な分野に今なお衝撃を与え続けている。学習や模倣、コミュニケーション、さらには情動の伝播・共有を説明する鍵として注目を集める神経細胞の発見過程と秘めたる可能性を、発見者自らが科学的に解き明かす。
目次
1 運動系
2 行動する脳
3 周りの空間
4 行為の理解
5 ヒトのミラーニューロン
6 模倣と言語
7 情動の共有
著者等紹介
リゾラッティ,ジャコモ[リゾラッティ,ジャコモ] [Rizzolatti,Giacomo]
1937年生まれ。世界的に有名な神経生理学者。パルマ大学名誉教授。1990年代初め、同大の人間生理学教授、神経科学科長として指揮した研究チームがミラーニューロンを発見。大脳皮質の運動系とミラーニューロンに関する研究は、「サイエンス」「ニューロン」「米国科学アカデミー紀要」「パブリック・ライブラリー・オブ・サイエンス」「ブレイン」「トレンズ・イン・ニューロサイエンスィズ」などの権威ある科学専門誌に掲載され、認知科学の議論に重大な影響を与えてきた。現在、欧州学術院会員、アカデミア・ナツィオナーレ・ディ・リンチェイ会員、アメリカ芸術科学アカデミー外国人名誉会員、フランス科学アカデミー外国人名誉会員。おもな受賞歴にゴルジ生理学賞、認知神経科学協会ジョージ・ミラー賞、グロマイヤー心理学賞、アカデミア・ナツィオナーレ・ディ・リンチェイのフェルトリネリ医学賞がある
シニガリア,コラド[シニガリア,コラド] [Sinigaglia,Corrado]
1966年生まれ。ミラノ大学科学哲学教授。数年にわたってルーヴァン、パリ、ジェノバで知覚の現象学と行為の哲学を研究。科学と数学の歴史、認識論、確率の基礎に関する諸論文の著者でもある。2006年当時、イタリア論理学・科学哲学協会運営委員、科学振興のための「ピエロ・カルディローラ」国際センター会員
柴田裕之[シバタヤスシ]
1959年生まれ。翻訳家。早稲田大学理工学部、アーラム大学卒
茂木健一郎[モギケンイチロウ]
1962年生まれ。ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。東京大学大学院特任教授。専門は脳科学、認知科学。著書に『脳と仮想』(第4回小林秀雄賞、新潮社)、『今、ここからすべての場所へ』(第12回桑原武夫学芸賞、筑摩書房)ほか。IKIGAIやNAGOMIに関する英語の著作が多数の言語に翻訳されている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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