出版社内容情報
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生物、無生物を問わず、すべてはより良く流れるかたちに進化する――
分野を超えて衝撃を与える、革命的理論の誕生
ダーウィン、ドーキンス、グールド、プリゴジンらに異を唱える熱力学の鬼才が放つ、衝撃の書
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樹木、河川、動物の身体構造、稲妻、スポーツの記録、社会の階層制、経済、グローバリゼーション、黄金比、空港施設、道路網、メディア、文化、教育――生物・無生物を問わず、すべてのかたちの進化は、「コンストラクタル法則」が支配している!
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著者エイドリアン・ベジャンは、1996年にノーベル化学賞受賞者イリヤ・プリゴジンの講演を聴いていた際、「河川流域や、肺の気道、稲妻など、自然界に豊富に見られる樹状構造の類似性は偶然である」という、プリゴジンの主張が間違っていることに突如気づいた。
この閃きからベジャンの思考は一気に流れ出した。万物のデザインを支配する物理法則の存在を確信したベジャンは、のちに「コンストラクタル法則」と名付ける法則の定義を、以下のようにノートに書き留める。
「有限大の流動系が時の流れの中で存続するためには、その系の配置は、中を通過する流れを良くするように進化しなくてはならない」
驚くことに、この法則は生物のみならず、河川流域や稲妻の形状、果ては工業製品や社会制度のかたちなど、無生物にも適用されるものなのだ。ベジャンは生命の概念を生物学の領域から切り離す。すべてを「流動系」と見なせば、そのかたちの進化はコンストラクタル法則に従うという。そして最終章では、同法則を用いた人間社会の未来予測が展開される。
「すべては、より良く流れるかたちに進化する」という、一見過激なこの物理法則はいかに説明されるのか?
初めて一般向けにまとめられたベジャンの革命的理論が、ついに日本に上陸する!
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「世界を動かすのは愛やお金ではなく、流れとデザインである」……「序」より
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【目次】
序
すべては流れを良くするために/「生きている」とはどういうことか/流れがすべてをデザインする/雪、溶岩、滴/世界を動かすのは愛やお金ではない/コンストラクタル法則は第一原理である/自由を与えられれば/自然界のデザインを説明する法則/ダーウィンの説に足りないもの/流れに身を任せよ
第一章 流れの誕生
「デザイン」とは何か/物理法則が支配する世界/人間の呼吸器系/熱力学/「系」の定義/エネルギー/摩擦という不完全性の働き/自由はデザインにとって善である/なぜ流動するのか/水の流れ/旅の中身が肝心だ
第二章 デザインの誕生
「デザインする」とはどういうことか/電子機器の冷却システム/河川の流れ、血管の流れ/完全に自然な「人工的」デザイン/コンストラクタル法則の例証/さまざまなスケーリング則/生命は流れであり、動きであり、デザインである
第三章 動物の移動
動物のデザインは偶然の産物ではない/体の大きさと動き/動きにまつわる基本的事実/飛ぶ動物の分析/走る動物の分析/泳ぐ動物の分析/動物の代謝率/動物の器官と乗り物の部品の大きさ/より効率の良い流れのために
第四章 進化を目撃する
スポーツの進化とコンストラクタル法則/重心の位置が及ぼす影響/車輪の発明/足のデザイン/生への衝動としてのデザイン
第五章 樹木や森林の背後を見通す
なぜ樹木は存在するのか/流動系としての樹木/樹木の根をデザインする/エッフェル塔の秘密/幹と枝をデザインする/樹木を流れる水のために/森を見る/すべては地球という流動系の構成要素である
第六章 階層制が支配力を揮う理由
社会制度を説明する物理法則/流動系としての社会/ヴァスキュラライゼーション/階層制というデザイン/流れの良い組織の構造/階層制と科学/階層の上下は支え合う/階層制の予測可能な調和/ジップの法則/メディアの趨勢/社会制度のデザイン
第七章 「遠距離を高速で」と「近距離を低速で」
可能な限り速く、遠くまで/折れ線問題/二つの流動様式の均衡/白と黒/人造の世界の変化/空港のデザイン/都市のデザイン
第八章 学究の世界のデザイン
大学の序列とコンストラクタル法則/良いアイデアが普及する構造/揺るがない大学の序列/バスケットボール・チームの序列/見えない流れ、帝国の支配
第九章 黄金比、視覚、認識作用、文化
自然現象としての黄金比/脳の中の流れ/黄金比とコンストラクタル法則/目の出現/文化─良いアイデアは伝わり、存続する
第一〇章 歴史のデザイン
第一節 太陽─流れの源(エネルギーの流れを俯瞰する/エンジンとブレーキ)
第二節 生命の進化─人間と機械が一体化した種の出現へ(生命の誕生と流れ/生物の進化とコンストラクタル法則/人間と機械の一体化した種/狼煙からインターネットへ/コンストラクタル法則による未来予測)
解説 木村繁男(金沢大学教授)
索引
【著者紹介】
エイドリアン・ベジャン Adrian Bejan
1948年ルーマニア生まれ。デューク大学特別教授。
マサチューセッツ工科大学にて博士号(工学)取得後、カリフォルニア大学バークレー校研究員、コロラド大学准教授を経て、1984年からデューク大学教授。24冊の専門書と540以上の論文を発表しており、「世界の最も論文が引用されている工学系の学者100名(故人を含む)」に入っている。
1999年に米国機械学会と米国化学工学会が共同で授与する「マックス・ヤコブ賞」を受賞。2006年には熱物質移動国際センターが隔年で授与する「ルイコフメダル」を受賞。これらは熱工学分野のノーベル賞とも言われるもので、二つとも受賞している研究者は少なく、いずれも熱工学の歴史に名を残した人物である。
J. ペダー・ゼイン J. Peder Zane
ジャーナリスト。セントオーガスティン・カレッジ准教授(ジャーナリズム)。
【訳者】
柴田裕之(しばた・やすし)
1959年生まれ。翻訳家。早稲田大学理工学部、アーラム大学卒。
訳書に『ソウルダスト』『ミラーニューロン』(以上、紀伊國屋書店)、『経済は「競争」では繁栄しない』(ダイヤモンド社)、『正直シグナル』(みすず書房)、『繁栄』(共訳、早川書房)他多数。
【解説者】
木村繁男(きむら・しげお)
1950年生まれ。金沢大学環日本海域環境研究センター教授。
早稲田大学理工学部機械工学科卒業後、一般企業勤務ののち、コロラド大学大学院工学研究科においてエイドリアン・ベジャンを指導教授として博士号取得(工学)。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校、通商産業省工業技術院を経て現職。専門は伝熱工学。
【ブックデザイン】
鈴木成一デザイン室
内容説明
樹木、河川、動物の身体構造、稲妻、スポーツの記録、社会の階層制、経済、グローバリゼーション、黄金比、空港施設、道路網、メディア、文化、教育―生物・無生物を問わず、すべてのかたちの進化は「コンストラクタル法則」が支配している!ダーヴィン、ドーキンス、グールド、プリゴジンらに異を唱える熱力学界の鬼才が放つ、衝撃の書。
目次
第1章 流れの誕生
第2章 デザインの誕生
第3章 動物の移動
第4章 進化を目撃する
第5章 樹木や森林の背後を見通す
第6章 階層制が支配力を揮う理由
第7章 「遠距離を高速で」と「近距離を低速で」
第8章 学究の世界のデザイン
第9章 黄金比、視覚、認識作用、文化
第10章 歴史のデザイン
著者等紹介
ベジャン,エイドリアン[ベジャン,エイドリアン] [Bejan,Adrian]
1948年ルーマニア生まれ。デューク大学特別教授(distinguished professor)。マサチューセッツ工科大学にて博士号(工学)取得後、カリフォルニア大学バークレー校研究員、コロラド大学准教授を経て、1984年からデューク大学教授。24冊の専門書と540以上の論文を発表しており、「世界の最も論文が引用されている工学系の学者100名(故人を含む)」に入っている。1999年に米国機械学会と米国化学工学会が共同で授与する「マックス・ヤコブ賞」を受賞。2006年、「ルイコフメダル」を授賞
ゼイン,J.ペダー[ゼイン,J.ペダー] [Zane,J.Peder]
ジャーナリスト。セントオーガスティン・カレッジ准教授(ジャーナリズム)。『ニューヨークタイムズ』などへコラムを寄稿する
柴田裕之[シバタヤスシ]
1959年生まれ。翻訳家。早稲田大学理工学部、アーラム大学卒
木村繁男[キムラシゲオ]
1950年生まれ。金沢大学環日本海域環境研究センター教授。早稲田大学理工学部機械工学科卒業後、一般企業勤務ののち、コロラド大学大学院工学研究科においてエイドリアン・ベジャンを指導教授として博士号取得(工学)。カリフォルニア大学ロサンゼルス校、通商産業省工業技術院を経て現職。専門は熱流体工学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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