出版社内容情報
科学的に見ることの本質を語る科学哲学入門
我々は日々どのようにものを見ているのであろうか。著者は、〈見る〉ことに関するさまざまな理論を検討しながら、〈見る〉とは「理論を背負って」見ることであって、「なまの現実」などないという。眼の 背後にある言語的構造を斬新な語り口によって明らかにし、科学的に見ることの本質、事実と理論の関係等に答えていく、まったくユニークな「科学哲学入門」。
内容説明
上巻では、“見る”ことに関するさまざまの理論を検討しながら、“見る”とは単に事物を見ることではなく、ある一定の種類の事物として見ることであると、観察の理論負荷性を主張した。下巻では、この主張を現実の科学活動の場でさらに展開させる。科学的探究、科学的説明等において重要な役割を果たしている仮説、法則、因果律、斉一性等をとり上げ、その底に一貫して流れる理論依存的性格を剔出しようとする。さらに、量子力学等で問題になっている確率的推論についても言及する。
目次
第3部 困難―実験的探求の過程(波動、粒子、事実;仮説ハ事実ヲツクル;科学の単純性と決定実験;科学の体系的側面;「原因」と「だから」を見つけること ほか)
第4部 確率と科学における確率的推論(度数と確率の数学;確率計算の使用と解釈;統計的技法の諸原理;斉一性の原理再訪)
著者等紹介
ハンソン,ノーウッド・ラッセル[Hanson,Norwood Russell]
1924年生れのアメリカの科学哲学者である。音楽家を志してカーティス音楽院に学んだが、第二次大戦に応召しアメリカ海兵隊の戦闘機パイロットとして活躍した。除隊後音楽家の道を捨て、シカゴ大学およびコロンビア大学で物理学と哲学とを専攻し、さらにオックスフォード、ケンブリッジ両大学で研究を重ね、学位を取得した。その後1952年よりケンブリッジ大学で科学哲学担当の講師を務めたが、1956年のスエズ紛争でイギリスに幻滅を感じ、翌年アメリカに戻って、インディアナ大学における学際的な学科としての科学史・科学哲学コースの創設に参画し、後にそこの主任を務めた。インディアナ大学およびイエール大学で哲学教授の任にあったが、1967年4月、愛機のグラマン型ベアキャット(彼のニックネーム「ベアキャット」はこれに由来する。またイエール大学では「飛行教授〔The Flying Professor〕」とも呼ばれていた)を駆って悪天候の中を飛行中(一説にはピストンエンジン機のスピード世界記録に挑戦中であったとも伝えられる)、事故に遭って43歳の若さで亡くなった。彼の多方面にわたる華麗な才能を、僚友のS・トゥールミンは「現代アメリカに生れ育ったフィレンツェ・ルネサンス人」と評している
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