感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
今ごろになって『虎に翼』を観ているおじさん・寺
76
これを読了した今日(2021年8月13日)、メンタリストDaiGoの貧困層への蔑視発言が炎上しているが、最近出たこの本を読むと、学者である著者は10代の頃からホームレスと交流を持っていたとある。どんな人なのだろうかと、失礼ながら著者を画像検索してみると、鳥山明『Dr.スランプ』のアラレちゃんのような方で、そんな方がホームレス社会に入っていき、社会の差別や矛盾、自らの心を見詰めて現実と格闘していた姿に頭が下がる。近年フェミニズムの本は毎年良い本が出ているが、今年の収穫の一つ。DaiGo氏に読ませたい。 2021/08/13
ネギっ子gen
56
【魔女が教えてくれたのは、家父長的な国家と資本主義による猟奇的な暴力と、それに抵抗することの困難と美しさ、そして日常的な抵抗の技法や身振りだった】コロナ下で露わになった格差・貧困・分断の問題を、フェミニズムの視点から読み解き、具体的な抵抗の方法を探る書。巻末に参考文献。<女だからといって、派遣労働者だからといって、仕事や収入を失ったからといって、野宿者だからといって、トランスジェンダーだからといって、殺されてたまるか。誰かの「安全」のために、別の誰かの命や尊厳が犠牲にされるような社会はもうごめんだ>と。⇒2025/05/21
katoyann
21
若い学生時代からホームレス支援に従事し、今は社会福祉学の専門家として大学で教鞭を取る著者による研究エッセイ。表題のバラとはアイデンティティ・ポリティクスの文脈における差異の承認を示唆する。差異の承認とは、同性婚や女性の企業での活躍を例として、セクシュアリティとジェンダーの多様性を尊重する社会の動向を意味する。これは差別の克服を意味するため望ましい動きなのだが、実は市場に役立つ人間を重視し、婚姻制度は温存するという意味で新自由主義に親和的な側面を持つという。著者は多様性と共にパンの保障と包摂を訴えている。2022/05/23
Mc6ρ助
14
古い考えに凝り固まった爺さまはこういうふうにはっきり言ってもらわないとダメだ。前々からおかしいと思っていた家事・家庭内ケア労働の位置づけ、資本主義はこれらを労働者が無償で準備することを前提としているんだって。この本ではそこからベーシックインカムを導いているけれど、社会保障としては、住を含めてベーシックサービスの方がしっくりくるように思われる。とはいえ、「資本主義はおかしい」の次への道のりは遠い。2021/12/10
おでんのたまご
13
筆者の路上生活者との関わりが印象的だ。特に「犬死に」したタネさん、役に立たなくてもいいというのは力強い励まし。「役に立つ」というのがそもそも資本主義的で家父長制的な価値観から見た状態だから、役に立たないということが抵抗になる。役に立たなくてもバラを持っていられるような、そんな社会が良い。また自分の特権性についても自覚させられる。ホームレスも女もより安心して暮らせる社会へ2022/06/16
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