出版社内容情報
ザコンよりも根が深い、ファザコン娘の謎を解く!
あまりにも自然なために、日本では見逃されてきた父娘関係を「源氏物語」や
「無名草子」「とはずがたり」など女性が書いた古典文学から読み解く。天皇
と皇女の危うい関係から女が女を躾る「女訓書」の世界まで、精密な読解と大
胆な切り口で考察する。現代に通じる、家父長制や婚姻制度が整った中世、父
の力はどのように娘たちを支配していたのか。画期的な文学史論。
内容説明
マザコンよりも根が深いファザコン娘の謎を解く。「父娘関係」で古典を読む。
目次
はじめに 「父の娘」と「娘の父」と
第1章 娘のままでいる女―平安末期の天皇と皇女
第2章 物書く女―『無名草子』
第3章 はみだす女―『とはずがたり』
第4章 かしこい女―阿仏尼と『庭の訓』
第5章 しつけられる女―女訓書とお伽草子
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
れじーな
2
「成立しない近親相姦関係」というのに、とても共感しました。女性であれば少なからず感じたことがあるのではないでしょうか。会社の上司も格好の「父的な存在」ですよね。暗に支配されながらも、そこに甘える「娘」を私はある意味強かであると思っていたのですが、その辺はちょっと著者の考えとは違ったみたいです。「女」をかたち作る存在が「父(的な存在)」であり「父の影響を受けた女」である、という後半の展開もなかなか興味深かったですね。文学だけど、ジェンダーのお話でした。2014/09/25
たんこ
1
フェミニズムの人なんだな、専門書としてよりエッセイとしての趣が強いようで、きっちりした研究はせずに著者が感じたことを中心に書いているような印象を受けた、趣旨は中世までの日本文学を、本当の父親ではなく父親的な価値観を押し付けて女性の人生に制約を荷すオトコたちという視点から書くというもの、だと思う2008/10/20