内容説明
「ポストモダン」と形容される状況の中で、社会を考えるための枠組はどうあるべきか。「近代」的な社会像がもはや有効性を失って久しい。本書がめざすのは、ポストモダン状況に対応しうる新たな社会像の提示である。著者は、言語哲学・レトリック・文学理論などの知見を大胆に導入して、従来の実証主義的な社会科学の虚構性を暴き出し、社会を「テクスト」として、つまり実体ではなく言語による構築物として捉えることを提唱する。かつ、抽象論に自閉することなく、あくまで生活世界への視線にもとづいて、社会学の主題を組みなおしてゆくのである。
目次
序論 テクストとしての社会
第1章 ディスクールと政治体制―社会言語学、言語コミュニティ、低所得者集団の動員
第2章 個人のアイデンティティと政治経済―歴史的視座からみた自我の西欧的文法
第3章 修辞的なものとしての理性―認識論とディスクールと実践の関係について
第4章 レトリックの理論と理論のレトリック―エミール・デュルケム、および社会学的真理の政治的象徴論
第5章 レトリックと歴史の科学―メタファーの葛藤としての進化論と経験論の論争
第6章 物語テクストとしての社会的現実―言語としての相互作用、制度、政体
第7章 社会的テクストとしての物語―社会的‐象徴的行為としての文学、文学理論、自我
第8章 文学形式と社会学理論―解放のディスクールとしての弁証法的アイロニー
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