内容説明
真に人間的な社会の創造を生涯追求したフロムが説く、順応主義への反抗と、社会の“狂気”への批判的態度の必要性とは。1980年の死の直前まで、フロムによって集められたエッセイ集。9篇は、以前に本や雑誌に発表されたものだが、一緒にまとめられたのは初めて。
目次
第1章 心理的、道徳的問題としての反抗
第2章 ヒューマニズム的精神分析のマルクス主義への応用
第3章 預言者と司祭
第4章 世界的人間哲学としてのヒューマニズム
第5章 人間の勝利をめざして
第6章 ヒューマニズム的社会主義
第7章 保証収入の心理的側面
第8章 一方的軍縮を
第9章 平和の理論と戦略のために
著者等紹介
フロム,エーリッヒ[フロム,エーリッヒ][Fromm,Erich]
1900年ドイツ・フランクフルト生まれ。ハイデルベルク、フランクフルト、ミュンヘンなどの大学で学んだのち、ベルリン大学で精神分析学を学ぶ。フランクフルト社会研究所を経て、1933年アメリカに渡り、のちに帰化。イェール、ミシガン、ニューヨークなどの大学で教鞭をとり、さらにメキシコに移住。1980年逝去。フロイト理論にマルクスやヴェーバーを接合して精神分析に社会的視点をもたらし、いわゆる「新フロイト派」の代表的存在とされた
佐野哲郎[サノテツロウ]
1931年生まれ。1959年京都大学文学部大学院修士課程英語学英米文学専攻修了。京都大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Sin'iti Yamaguti
2
全9編のエッセー集。エーリッヒ・フロムといえば『自由への逃走』だが、狭い意味での社会心理学にとどまらず、政治的な発言(行動も)していることに敬意を表する。ソ連崩壊前の執筆(1960年代から70年代はじめ)ゆえ、時事的には適合しない箇所もあるが、おおもとの考え方は決して古くなっていない。一点、私がフロムに賛成できないのは、「人間が環境に支配されるのではなく、環境が人間に支配されなければならない」ということ。2025/03/08
モート
0
欲望を育てることが人間という種を進化させる。欲望を禁止するからではない。他人に迷惑をかけない限りという規準をもとにp79。。。 一方的な軍縮は現在の各国財政難にあって、ワークしやすい環境にあるはずだが、この引き算は民意を得られないので、逆に独裁の国の方が立場的に可能性があるのかもしれない。これは贈与論を元にした平和構築の思考実験と同じ構図だ。。。 この本はエッセイ集。。。 前後左右にランダムに視線を動かすし漢字を認識する、漢字拾い読みがワークして心地よく読めた。。。つぎは部分的にゆっくり味わって2025/08/28