感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
8
欧米の人類学者が未開社会を調査する際、学としての客観性を担保するために数学由来の構造を方法として導入する一方、自らに根付くユダヤキリスト教的イデオロギーを相対化する課題を負ってきた。本書は聖書を長い年月をかけて編纂された文書と文献学的に捉え(改竄箇所の存在も指摘)、その内容について、創世記を神話と捉え、ソロモンの業績を歴史と神話両面で検討し、処女懐胎説を他の宗教の神話と比較して、その呪術的な側面を前景化する。林檎の木を「知識の木」と呼んだ創世記を読む著者は、生命の木への道を断つ「死の木」であると解釈する。2024/03/28