出版社内容情報
11~16世紀のヨーロッパを舞台に,ユダヤ教や初期キリスト教,異端的神秘主義者たちから受けつがれた「千年王国幻想」が,現世での楽園を求める民衆のエネルギーや想像力と結びついていったさまを,ドラマティックに再現する。中世史の埋もれた部分に光をあてた社会史的研究であるとともに,文学・人類学・宗教学・社会学などに多くの問題を投げかけた名著。
千年王国信仰が民衆のエネルギーや想像力とどのように結びついたかをドラマティックに再現し、中世史の影の部分に光をあてた画期的名著。
序 章
第一章 黙示録預言の伝統
ユダヤ教および初期キリスト教の預言
中世ヨーロッパにおける黙示録伝統
第二章 宗教的異議申し立ての伝統
使徒的生活の理想
初期のメシアたち
第三章 生活の方向を見失った貧民たちのメシア主義
めまぐるしい社会変化の影響
第一回十字軍における貧民たち
第四章 反キリストの軍勢に立ち向かう聖徒
<終わりの日>救世主
悪魔の軍勢
幻想・不安・社会神話
第五章 十字軍の余波のなかで
偽ボドゥアンと(ハンガリーの導師)
貧民の後期の十字軍
第六章 メシアたる皇帝フレデリック
ヨアキムの預言とフレデリック二世
フレデリックの復活
未来のフレデリックのための宣言
第七章 自己犠牲的贖罪者のエリート
鞭打苦行運動の発生
革命的鞭打苦行者
チューリンゲンの秘密鞭打苦行者
第八章 道徳に縛られない選民たち(Ⅰ)
自由心霊派の異端
アモリ派教徒
自由心霊派の社会学
第九章 道徳に縛られない選民たち(Ⅱ)
運動の展開
自己神格化の道
神秘主義的アナーキズムの教理
第十章 平等主義的自然状態
古代思想の中で
教父時代および中世の思想の中で
第十一章 平等主義的千年王国(Ⅰ)
イギリス農民一揆に関する傍注
タボル派の黙示
ボヘミアの無政府・共産主義
第十二章 平等主義的千年王国(Ⅱ)
ニクラスハウゼンの鼓手
トーマス・ミュンツァー
第十三章 平等主義的千年王国(Ⅲ)
アナバプティズムと社会不安
新エルサレムとしてのミュンスター
ライデンのヨハネ(ボッケルソン)のメシア治世
結 論
付 録 クロムウェル時代のイギリスにおける
自由心霊派、ランターズとその文書