内容説明
徹三は、元大学教授。人格者として多くの人に慕われる存在だった。それがある日突然、帰る家を忘れ下着姿で街を徘徊するようになった…。痴呆のお年寄りをかかえる家族の地獄絵図。そして家族の崩壊。心の闇をかかえる孫の香子が、家族の再生に向け選んだ道は、徹三の心地よい「居場所」を見つけることだった。グループホーム―介護を社会に開くことが、「居場所」探しのキーワードに。介護に関する情報を数多く盛り込み、お年寄りにとっても介護家族にとっても幸せな介護とは何かを探る感動の介護小説。
著者等紹介
中島久美子[ナカジマクミコ]
福岡市生まれ。同志社大学文学部英文科卒業後、出版社に勤務。単行本と雑誌の編集に携わった後、フリーランス・ライターとして独立。人物インタビュー・ルポ・コラムなどを、新聞・雑誌に発表。文化・流行現象、教育、福祉、経済、農業と執筆分野は幅広い。著書に『現代風俗史年表』(共著・河出書房新社)、「見合い狂想曲」(千野境子編著『あなたもシングル?』所収、ユック舎)がある
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感想・レビュー
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milk tea
35
認知症という病気が、私が思っているものとほぼ同じだった。2001年の発行なのだが、世の中はそう大きく変わってないのかもしれない。グループホームが介護保険制度にも組み入れられ、ケアの大切さが広まってきていると知り、もっともっと根付いていけばいいなと思う。奈津子の夫・真也や義理の妹・玲子にも苛々させられた。 「呆けが進むと子供に返る。呆けは神様からの最期の贈り物。そうやって人はようやく人生のいろいろな辛さから解放される。」2020/02/22
nene
4
祖父の入ったグループホームは素晴らしいところだった。人物も出来事もデフォルトされすぎているきらいはあるが、自身も介護の体験があり、介護についていろいろ考えている作者ならではの観点かもしれない。2019/03/16
パールレイン
3
☆☆☆★★⒊22016/08/29
kinoko
3
3.0 10年ほど前の小説。まだまだ介護は嫁という時代。今とは、意識がずいぶんかわったなぁという印象。長生きしても心も身体も健康でないとね。2011/11/19
パイナップルジャム
1
登場人物の心情の描き方が浅いように思われました。著者にとって初めての小説ということなので、そのせいでしょうか。でも介護小説として読みやすく、介護の大変さや問題点について示唆をくれました。2021/09/16