感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鯖
15
先日亡くなられた三笠宮のエッセイ。文章がとても読みやすい。戦地で熱心に不況する宣教師の姿に心打たれ、また日本社会に近代以前の考えが強く残っているのは宗教改革を経ていないからではないかという疑問から、古代オリエント史の学者としての道を進んだ宮。昭和32年に日テレで放映された古代オリエントの旅という番組についての対談で「ノアの方舟があったら」とされていた台本を「方舟はあったのだろうか。もしあったならば」と事細かに直されていたというエピが紹介されていて、ともかく誠実な方なんだなとしみじみ。 2016/12/04
CCC
8
著者は昭和天皇の弟。話題は一応古代オリエント中心だが幅広い。結構踏み込んだ話もしている。映画で旧日本軍の残虐行為を判断するのはどうかと思ったが、同期の残酷な言葉を直接聞いたり、対華新政策を通じて生々しい現実を突きつけられたりする部分を思うと、色々今の私達には見えないような闇も知っているのだろうな、と思わされた。そういった重い話以外も全体的に良かった。翻訳や印税、国旗、国歌、アジアの対日感情辺りの話が面白かった。皇族の「私」の部分をもっと尊重すべきだと訴える箇所も。しっかり受け止めるべきだろう。2017/08/28
Hiroki Nishizumi
2
著者が日本におけるオリエント史の嚆矢だったとは知らなかった。文章も読みやすかった。2016/10/19
中将(予備役)
1
研究者だった三笠宮殿下の随筆文集。どの文も知的で面白い。付録として収載された「歴史は現代を知る「かぎ」」(初出は東京女子大学新聞)には感激した。2019/11/04
iota1204
0
三笠宮のオリエントへの熱情と、周囲の人々への、感謝の気持ちにあふれた、回想録。ただ、オリエント史自体の記述や、研究成果なども概要は薄い。