内容説明
パンダ初来日には飼育責任者を務め、コアラの飼育、国の特別天然記念物トキの繁殖にも携わった元上野動物園園長の中川志郎氏。月刊のタウン誌『うえの』に連載された262本の中から選りすぐった動物にまつわる珠玉のエッセー。
目次
第1章 共生
第2章 絆
第3章 自然
第4章 遊び
第5章 愛
第6章 病気
第7章 誕生
第8章 哀悼
著者等紹介
中川志郎[ナカガワシロウ]
1930年茨城県生まれ。宇都宮農林専門学校(現宇都宮大)獣医科卒。1952年より上野動物園に獣医として勤務。ロンドン動物学協会研修留学の後、同動物園飼育課長。1984年、東京都立多摩動物公園園長。その間、初来日のパンダ、コアラの受け入れチームのリーダーを務める。1987年、上野動物園園長。東京動物園協会理事長。1994年、茨城県自然博物館館長。その後、茨城県自然博物館名誉館長、(財)日本博物館協会顧問、(財)全日本社会教育連合会理事、(財)世界自然保護基金ジャパン理事、(財)日本動物愛護協会理事長を歴任。2012年7月16日死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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トムトム
22
元上野動物園園長先生の書いた本。里山は人間と動物が共存できる、人間が生態系の一部として組み込まれた環境。里山のおかげで増えた生物多様性もあるとのお話に、目からウロコ!確かに、欧米式の保護か駆除かみたいな動物との関わり方は違うと思う。先日テレビで見た、北海道でヒグマと共存している漁師さん。「人工的なものがあるのは良くない」と日常的に漁師さんが使っている橋を撤去させようとした世界遺産鑑定人?の欧米人。欧米的な環境保護意識と、ヒグマも隣人で共存できる日本人の意識。全然噛み合ってなくて不愉快だったなぁ…2020/08/05
きょん
6
上野動物園はじめ動物園や動物愛護協会など、生涯を通じて動物に関わってきた著者。一大ブームを起こしたパンダのランランカンカンにはじまり、ゴリラのモモコ、オランウータンのモリーなど動物たちとのエピソードや職人気質の飼育員や獣医の方々、野生と向き合い、慈しむ心が伝わる作品だった。2021/09/10
呑司 ゛クリケット“苅岡
2
動物をひたすら愛すことで仲間になることが出来た著者の体験記。伴侶動物のターミナルケアの話や保護か駆除しかない欧米式の動物保護など興味深く読めた。地球という視座から人間が生命の仲間外れになるかと心配になるような内容もある。上からの目線ではなく本当に仲間になるための努力が必要と感じた。2021/06/01