内容説明
絵本作家・中川ひろたかが、広島で亡くなった自分の伯父、被爆者となった自分の母の体験を伝え、子どもたちへ問いかける。絵本界屈指の人気コンビが、初めて挑む「核と平和」。
著者等紹介
中川ひろたか[ナカガワヒロタカ]
1954年埼玉県生まれ。保育士、バンド「トラや帽子店」を経て、現在はシンガーソングライター、絵本作家として全国で親子コンサート、講演などで活躍。A1あそびうたグランプリ、D1だじゃれグランプリ主宰。1995年『さつまのおいも』で絵本デビュー。1998年子どもの歌の専門レーベル「ソングレコード」設立。2005年『ないた』で日本絵本賞
長谷川義史[ハセガワヨシフミ]
1961年大阪府生まれ。『おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃん』で絵本作家デビュー。2003年『おたまさんのおかいさん』で講談社出版文化賞絵本賞、2005年『いろはにほへと』で日本絵本賞を受賞。2008年に『ぼくがラーメンたべてるとき』で日本絵本賞、小学館児童出版文化賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nana
80
娘と一緒に。日常がたった一瞬で崩される恐怖。2021/08/10
☆よいこ
73
戦争絵本。広島原爆投下の8月6日のことを語る。お母さんは瀬戸内海の島の生まれで、広島で衛兵をしていたお兄さんの所に食べ物を届けていた。お母さんは16歳。だけど8月6日島から空が光るのを見た。「ピカドンはおにいさんのぐんの ちかくに おちました。せみも さかなも とりも そして ひともみんな しにました」▽英語表記あり。2023/07/05
かおりんご
49
絵本。いろんな広島の話を読んできましたが、この話なら、それほどグロテスクな感じもせず、でもインパクトを与えると思いました。低学年の子でも、十分理解できそうです。間をとりながら、読み聞かせたい作品。2015/03/30
今ごろになって『虎に翼』を観ているおじさん・寺
45
読友canさんのレビューを見て手に取る。8月6日、もちろん広島の原爆記念日である。近頃ファンになった絵本作家・長谷川義史の描いた広島の街や原爆の絵を見たくてならかった。カバー折り返しにあるように、当時の実話を絵本にしたものだそうだ。文章がたくさんある訳ではないので、実話をきわめて簡素に綴る。著者のおじさん(母の兄)が原爆で亡くなったという話だが、おじさんやお母さんの人となりを語ったりはしない。ここにあるのは戦争の理不尽な破壊と殺戮。子供が戦争を知るのに良い本だと思う。長谷川義史の絵もやはり良い。2015/01/21
k sato
44
戦後79年。終戦の日には父母と黙祷した。作者は戦後生まれである。母親は兄を原爆で亡くした。絵本に描かれる黒い人影と赤黒い炎。幼児とおぼしき黒焦げの遺骸。作者は母親から体験を聞き想像して描いたのだろうか。体が焼け爛れ苦しみ藻掻く人々の映像が頭をよぎる。この惨状に熱や臭い、音も付け加えてみる。こんなにも恐ろしいことが頭の中に浮かんでしまう自分が怖い。この想像力が争いの抑止力になっているならば、貧困が戦争を生むのではなく、人類の乏しい想像力や認知の歪みが戦争を引き起こしているのではないだろうか。2024/08/18