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内容説明
17世紀ナポリを拠点に迫り来る世界崩壊を幻視し続けた悪夢の画家。亡霊のように浮び上がる廃墟、蒼白の彫像群、爆裂する聖堂、そのなかで虚しく展開する人間たちの没落のドラマ…。モンス・デジデリオの名のもとに伝説的に語り継がれてきた“崩壊と破局”“世界の終わり”の画家、フランソワ・ド・ノームとディディエ・バッラの謎の作品群を集成した日本唯一の画集。
目次
バベルの塔
聖女の殉教
夜の殺人と空想的建築群
聖女の殉教
偶像を破壊するユダ王国のアサ王(聖堂の倒壊)
油釜に投じられた福音書記者聖ヨハネ
聖パウロと聖ステパノ
ヘブライ王サウルに聖油を注ぐサムエル
幻想的建築群
聖人の殉教〔ほか〕
著者等紹介
谷川渥[タニガワアツシ]
1948年生。東京都出身。東京大学大学院博士課程修了。美学専攻。現在、國學院大學文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
弟子迷人
36
これ大好きな画集だったのですが、トレヴィルなくなっちゃいましたね。>< が……、なんと!バーゲンブックで出ています!!! http://bookmeter.com/b/B00KHLVLSM お友だちの「布教用」に(笑) 参考価格: ¥ 3,801が、OFF: ¥ 2,181 (57%)で、¥ 1,620とな☆2015/01/09
ハイカラ
32
崩壊する建築、崩壊した建築が描かれている。人物も絵に配されているものの、あくまでメインは廃墟的建築物。暗い中から浮かび上がるようにして聳える石柱や石像群が、衰退滅亡を見る者にイメージさせる。最高の幻想建築画集だった。2016/04/12
さっちゃん
18
漆黒の闇に浮かび上がる光のファサード。あるいは青白い彫像。あくまでも建物が主役で、人間は蠢く影でしかない。人間ごときが、と嘲笑うように世界の崩壊ははじまっていて、崩れ去る前の一瞬の静寂に充たされている。聖書の場面を数多く描いているのに救いは全くない。この絵を前にして人々は神の怒りに触れないようにと自らの行いを正しただろうか、それとも圧倒的な力が滅ぼす世界に魅せられ、目を背けることができなくなったかもしれない。もしこの世界が終わるとしたら、そこにあるのは恐怖ではなく誰もが息を呑むほどの美ではないか。2015/08/11
HANA
17
初めは静謐に佇むバベルの塔から。頁を捲るにつれて建物はどんどんとその崩壊度を増していく。崩壊しない建物はどこか夢の中でみたような印象を残している。聖書の1シーンを題材に採っているけれども、人物は片隅に小さく書き加えられているだけで、大部分は神経症的なまでに精緻に書かれた建物ばかりである。段々と崩れていく建物は「トロイアの炎上」「ソドムとゴモラの崩壊」で一気にカタストロフィを迎え、最後に「地獄」の異様に荘厳な一枚で幕を閉じる。どの絵も黄色を基調としていて、終末を感じさせるものばかりでどれを見ても満足。2012/03/17
らくだ
8
巨大な廃墟がいくつもいくつも描かれている。壊れていく都市の壊れ方が壮大。光よりも陰が多く、暗さが際立つ。空想の建築群には多すぎる彫像。何故か「世紀末」という言葉を思い出したけど関係はなさそう。世紀末というより世界の終末という感じ。素晴らしい画集。2013/04/03