内容説明
セイレーン、マーメイド、魔性の女、異教のヴィーナス、誘惑する水界の魔女など、可憐で妖艶な水の女たちを集めた異色の画集。ラファエル前派や世紀末の画家たちが描いた、19世紀ロマン主義の官能と退廃。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Roy
33
★★★★★ 先入観からか死んでる女の絵から、水の流れる音が聞こえてこない。そして其処に存在し浮遊するだけの女の死体を見ていると、こちらの時間も止まったかのような錯覚に陥ることもある。一瞬の停滞(そんなことありえないけど)はある種の恍惚を覚えるのに対し、絵のような一切の停滞はじわじわ迫り来る怖さがあり、水と女と死体の描かれている絵が出ると、次第に息をとめて凝視してしまう自分がいた。なるほど「溟き水」、そのまま冥界へと連れて行かれるところだった。うっとり。2009/08/13
芍薬
16
ラファエル前派や世紀末画家の水辺と女性と神話の画集。絵画は伝説や神話などをモチーフとしているものが多いのでそれぞれのモチーフを調べ直しながら観るのもまた楽しかったです。それにしても水辺に佇む女性の意味深長で妖艶な事といったら!2012/06/22
アイアイ
12
セイレーン、人魚、入水する妖美な水に触れる美女たちのいる計44点の名画。 「水と女」を扱った作品は19世紀イギリスの絵画が多いとは知りませんでした。 現実の猛暑を離れ、社会にマイナス要素が多い程に、ロマン心の琴線に触れるのは中世も現代も同じ。とても涼めた一冊。▽図書館2015/08/16
野火*
2
図書館でたまたま目に入り、一目惚れして借りてきた。「水と女」というタイトルで既に何かを期待したんだろう。闇を湛えた水面と、悲愴を帯びた女の白い柔肌の対比がはっとするくらいに美しい。水と女と愛と死。美しさを極めるものの一つであろう。先入観が生まれてしまったので、あとがきを先に読んだのは失敗だった。お気に入りはウォーターハウスの「ミランダ」「オフィーリア」、ドラルーシュの「若き殉教者」など。2015/12/08
warimachi
2
何やら仰々しい題字に惹かれて。こっちは普通に「ウォッツ」表記になっていて安心したやら拍子抜けしたやら。ウォーターハウスの「シャロットの女」というの、そういえばマンガの「スパイラル」のシャーロットとかいう女がこんな風に鎖持ってたのはこれが元ネタなんだろうか。2010/10/09