出版社内容情報
ノアの方舟、アブラハムの一族、出エジプトーー旧約聖書の物語は史実か、創作かを、考古学から検証。聖書の豊かな世界へ誘う。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星乃
4
天地創造からバビロン捕囚後まで。イスラエル人がいつ発生したのか、はっきりと断言できず不明な点も多い。旧約聖書はバビロン捕囚後に民族の記憶を頼りにまとめられた可能性があるが『ギルガメシュ叙事詩』と重なる箇所もある。しかし、一神教にこだわってる点は、他の伝説と大きく異なる。ダビデやソロモンは実在したことは考古学の物的証拠により確実だが、モーセはどうかなあ。十戒で有名なシナイ山の位置も推定に過ぎない。ざっくり解釈すると、海の民=ペリシテ人、アモリ人=族長=ヒクソス=イスラエル人と言うことになるのかな。2025/01/23
Go Extreme
2
沈黙からの議論 自然主義的な世界観への批判 文化記憶としての伝承 エヌマ・エリシュとの共通性 四資料仮説による編集 ジッグラトと天文学の象徴性 アモリ人の多様な集団性 シャスとヤハウェ信仰の中核 四部屋式住居の先行例 ベリシテ土器の文化融合 トフェト(子供犠牲)の儀式 ラキシュ攻囲戦レリーフ ヒゼキヤ王と預言者イザヤの印影 キュロス円筒碑文の賛辞 サトラップ(州総督)の反乱 イェフード属州の新共同体 ゲリジム山のサマリア神殿 歴史意識の変容と神の力 2025/05/13
黒胡麻
2
旧約聖書についてほとんど知識がなかったが図や写真が豊富で楽しめた。聖書の記述はもちろん現実そのままではないが、古代オリエントの社会や文化の様子が反映されている。興味深かったのは南北王国の滅亡。その直前フェニキア等の影響でユダヤ人の間でも偶像崇拝が横行し貧富の差が拡大していたことが発掘でも確認されている。バビロニアの侵略による王国の滅亡はそれらの堕落に対する神罰だとユダヤ人は考えたのだ。70年後捕囚から戻ってきた人々とその場に残っていたサマリア人達との間で軋轢が生じたのは現代イスラエルと重なって思えた。2025/01/19
Kevin
1
従来の聖書の記述の真偽を探るのでは無く、聖書が書かれた時代を考古学に基づいて検証し、史実として確認出来る事から当時の社会情勢や思想、伝承から聖書のストーリーがどの様に形作られていったのかを解説しています。人類学的視点や宗教の成立を理解する上でも参考にできる内容です。2024/04/04
てり
1
図や写真が多くイメージしやすい。遺跡の写真見てるだけで得した気分になれる自分にはピッタリ。2021年7月発行で内容も最新の知見に基づいており充実した一冊。2022/07/24