内容説明
ユーゴ解体、ボスニア内戦、マケドニア問題…。平和への道を模索し続ける「ヨーロッパの火薬庫」の未来は。紛争の歴史にその答えを探る、バルカン史の決定版。
目次
第1章 ビザンツ帝国とバルカンの中世国家
第2章 オスマン帝国の支配
第3章 ナショナリズムの時代
第4章 民族国家の建国―対立と協調
第5章 危機の時代
第6章 多様な国家を求めて
第7章 ヨーロッパ統合のもと
著者等紹介
柴宜弘[シバノブヒロ]
1946年東京生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程(西洋史学専攻)修了。この間、ユーゴスラヴィア政府給費留学生として、ベオグラード大学哲学部歴史学科に留学。敬愛大学経済学部助教授を経て、東京大学教養学部助教授。東京大学大学院総合文化研究科教授。東欧地域研究、バルカン近現代史を専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
2
「オスマン朝は、もともとオスマンを始祖とするトルコ系の一軍事集団として出発しており、軍事と行政の区分が未分化であった…16世紀にオスマン朝が世界帝国になるにおよび、統治制度の整備が図られて軍事と行政の分化の過程が進んだ」「オスマン統治下のバルカン各地の森にはその支配を嫌い森に逃げ込んだアウトローの農民たちがいた。彼らはキャラバンを襲って物品を奪うことを生業とする義賊となり…セルビア語ではハイドゥクと呼ばれた」ハイドゥクはここからきてたのか…。反オスマンの意識が強くギリシャ独立戦争時に活躍したという。2015/01/13
すがし
2
アジアとヨーロッパが出会う地の、複雑な地域史。とても一読で理解できるものではないが、山がちな地勢と、周囲からの侵入が容易な地形が多数の民族の入り組んだバルカン独自の民族分布と密接な関連を持つことは理解できた。良書である。2010/11/10
猫森
0
一読しただけではとてもじゃないが全く理解できない。全体像すらもつかめない(私の理解力が低いせいもある)。島国民族には、大陸のイメージそのものもとらえにくいのだろうか? 概ね一つの民族(一地方)の歴史に絞って語ることはできないし、だからといって、こんな風にどばーっと多民族構成の歴史を並べられてももっとわからないし。もっとうまい焦点を当てて語ることはできないもんか…でもマイナスイメージだけのバルカンから脱出することは出来そう。2015/05/30
モリヤマ リン
0
まだキエフでの暴動が話題になっていた頃から、読み始めました。「ヨーロッパの火薬庫」という呼び名は知ってましたが、こういう地域だったとは知りませんでした。「人類、皆兄弟」という言葉がありますが、ある一面は言い表しているのかも。近くて似ている面もあるけれど、決して同じではないという意味で。ふと「日本国憲法第9条を世界遺産に」とか言っている人たちに、この地域で訴えてみたらどうだろうと言いたくなりました。2014/03/13
のんき
0
ビサンツ帝国のあたりから書かれたバルカン史。このページ数では線引きの変遷を記述するだけでも精一杯だろうから人々の暮らしぶりなども知りたいと望むのは欲張りすぎに違いない。しかしたくさんの図版とその詳しい解説によっていままでより具体的に地域のイメージを描けるようになったように思う。2009/05/01