出版社内容情報
「いま、わたしは、わっと泣きだしたいくらいの敗北感を覚える」――あなたの心にそっと染み込む、至極の作品集。
青山 七恵[アオヤマ ナナエ]
著・文・その他
内容説明
「あたりまえ」なんて知らない、孤独だけが「世界」を撃ち抜く!芥川賞作家が贈る至極の短篇集。
著者等紹介
青山七恵[アオヤマナナエ]
1983年埼玉県生まれ。2005年『窓の灯』で文藝賞を受賞しデビュー。07年『ひとり日和』で芥川賞、09年「かけら」(『かけら』収録)で川端康成文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
193
青山 七恵は、新作中心に読んでいる作家です。市井の人々のシュールでヴァラエティな短編集でした。オススメは、表紙も鮮やかな表題作『ブルーハワイ』&『山の上の春子』です。みんな悩んでいます。2018/07/27
ケンイチミズバ
101
聖ミラクーシュの日は笑ったし初めての海外で自分にもある。パスタソースとパスタが少し時差をおいて出てきた。イタリア語の説明ももちろんサッパリわからん。要するにこってりなスープだと思って、しかも旨くて先にパスタソースを平らげた私は、そのあと生のパスタを麺だけで必死に食した。せめてもの救いはテーブルにあったブラックペッパー。苦しかったし恥ずかしかった。日本人が勘違いされてしまうと焦った。27才の冬、ロンドンで単独行動、忘れもしない。夕食くらい一人で食えるさと強がったが故の。2018/08/14
なゆ
73
青山さんの話に出てくる主人公は、何考えてるかわからない人が多い気がする。この短編集もモヤッと振り回されたような、あーあとため息つくような。でも、嫌いじゃない。「辰年」が、女系大家族の賑々しいお見舞い行脚のようすも面白いが、高校生の梢の妄想と、“いとなみの勉強”に笑った。あるよなー、こういうこと。「聖ミクラーシュの日」は、旅先チェコで友達とケンカ別れしてしまい、たった一人で入った怪しげな店での不安感を堪能。「わたしのおばあちゃん」は読みながら自分のおばあちゃんを思い浮かべる。そういうこともアリだと思いたい。2018/08/10
R
65
なんとなく嫌な気持ちになる短編集だった。でも、オチまで読むとどうでもよくなるというか、主人公がだいたい嫌なことに合うんだけど、それが積もり積もったら、あらぬ方向に爆発でもないが転換してしまうという、ある種前向きな物語で、感情がぶれぶれする読書になった。SFっぽい感じもあったり、幻想と現実が曖昧になっているものもあったり、一種ホラーでもないが、怖いと思うようなものもあるのだが、どこか似た気分や感情を知っているような感覚になるのであった。2024/06/03
野のこ
64
青山さんは同い年でかってに親近感がありデビュー当初から愛読してます。6つの短編集。主人公のみじめでものうい気持ち、それに諦めさも感じて少しもやもやしましたが、その後の毒性のあるユーモアがクセになりました。辰年から元姉婿を思い出す梢のお話「辰年」チェコ旅行で親友とケンカして単独行動するお話「聖ミクラーシュの日」が良かったです。聖ニコラス?と天使に扮した接客をする地下のレストラン、怖いけど行ってみたいかも(笑)しかもお金取られるけど記念撮影付き!2018/08/20