内容説明
聖典に息づく神の言葉、数々の写本に込められたイスラームの熱い信仰、千年を超える悠久の歴史と文化を知るための、新しい入門書。
目次
序章 神の言葉は、いかにして下されたのか?
第1章 初期の写本たち―クーフィー体を中心に(クーフィー体とその写本の特徴と展開;ヒジャージー体、「崩れ草書体」によるクルアーン写本)
第2章 書物の形成―モンゴル西征以降の多様化(ナスフ体、基本六書体と書物という体裁;地理的拡大がもたらした写本の多様性)
第3章 精緻の極みへ―三つの大王朝時代(サファヴィー期、ムガル朝、オスマン朝の華麗なる写本;独自の展開を遂げたアフリカ、アジアの写本)
第4章 写本以後、クルアーンの今―印刷からデジタル化へ(クルアーン「印刷本」普及の歴史;イスラーム教徒以外にも開かれるクルアーンの世界)
著者等紹介
大川玲子[オオカワレイコ]
1971年、大阪生まれ。東京大学文学部イスラム学科卒業後、同大学院修士課程修了。東京大学人文社会系研究科アジア文化研究専攻イスラム学専門分野博士課程に進学、この間、講談社野間アジア・アフリカ奨学生としてカイロ大学やカイロ・アメリカン大学に留学の後、ロンドン大学大学院東洋アフリカ研究学院(SOAS)修士課程修了。文学博士(東京大学)。専攻はイスラーム学。日本学術振興会特別研究員。横浜国立大学や法政大学で非常勤講師を務める
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
274
著者の大川玲子氏はイスラーム学の研究者。本書の写真の大半も著者自身によるもの。クルアーン(コーラン)の写本の変遷史を語るのだが、同時に本書はクルアーンそのものの入門書的な要素も持っている。クルアーン写本は初期のクーフィー体にはじまり、ナスフ体など、ここには8つの書体が美麗な文字と独特の装飾を施されて展開される。周知のように、イスラームでは偶像崇拝を厳格に否定しているために、これらの写本には具象的な絵がない。聖書の写本との大きな違いだ。その代わりもあって、文字そのものの美しさが追求されてきたのだろう。2025/04/10
Koning
21
クルアーンの写本をイスラーム建築等とともに美しいカラー写真で紹介してくれる本。本文中ではきちんとクルアーンになってるし著者がイスラーム研究者なので書かれてる情報もアレ?ってのがない。クーフィー体と一口に言ってもやはりそこは写本だけに個性溢れる文字のスタイルがある。書体もナスフにナスタリークにetc.と色々あるし写本を装飾するセンスの凄さも合わさって見応えは十分。デジタル化や朗読にも言及されてるし検索ワードとして気になる物を探せば芋づるで色々見れるかと。イスラームやクルアーンそのものは別の本で読みましょう2014/04/06
ひつじ
12
イスラム教を勉強…と思って借りたらコーランに使われる字体の変遷の話でした。明朝体とゴシック体みたいな。ただ同じ文字かってくらい見た目違う気がする。装丁が素晴らしくてわくわく。次はちゃんとイスラム教の勉強しよう。2015/03/06
Christena
12
美しい写本の写真がカラーで多く掲載されている。ムハンマドからのイスラームの歴史も。クルアーン写本にだけ用いられるアラビア文字の字体もいろいろ。見ているだけで愉しい本。2015/01/17
ぶらり
8
オルハン・パムク「わたしの名は紅」で繰り広げられる細密画師の世界を垣間見ることが出来るコーランの写本の歴史と美。「わたしの名は紅」の”蝶”は後に絨毯のデザインに転身したとあるが、この本をみると日本でも人気のペルシア絨毯がコーランの美術の延長線上にあることがよく分る。2011/03/16
-
- 電子書籍
- 結局、「すぐやる人」がすべてを手に入れる