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ヴァインランド

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  • サイズ B6判/ページ数 497,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784309709635
  • NDC分類 933
  • Cコード C0397

出版社内容情報

アメリカ文学最高峰の鬼才が、17年の沈黙の後に発表した過激でポップな大傑作。ヒッピーおやじとティーンズ娘の軽妙な会話で始まる巨編は次第に陰謀渦巻くダークな世界へ。全面改訂の詳注付。

内容説明

1984年、ある夏の朝。北カリフォルニアの山中で14歳の娘とふたり、ジャンクにクレイジーに暮らすヒッピーおやじゾイドの目覚めから物語は始まる。ゾイドを執拗に追う麻薬取締官、娘を狙う連邦政府、その権力の魔の手から逃れながら、母探しの旅に出る娘。そして物語は60年代へ、ラディカル映画集団の一員だった母の記録映像を見る娘の眼差しと共に、バークリィでのデモ隊と機動隊の衝突現場へズーム・インする。闘争の渦中で母を救出するDLは、マフィアのドンに雇われ殺人忍法を操る「くノ一」。その女忍者とコンビを組むカルマ調整師のタケシ、彼らにカルマを調整してもらうヴェトナム戦争の死者のゾンビ「シンデルロ」…次々と出現する登場人物を巻き込んで、仕掛けに満ちたピンチョン・ワールドは時のうねりの中を突き進む―全米図書賞受賞の大作『重力の虹』以来17年の沈黙を破って発表された本書は、ギャグ満載のポップな装いの下に、輝けるアメリカを覆う呪われたアメリカ、官憲国家の狂気を、繊細に重厚に、ときにセンチメンタルに描き出す。名訳をさらに磨きあげ、注釈も全面改訂。

著者等紹介

ピンチョン,トマス[ピンチョン,トマス][Pynchon,Thomas]
1937年、ニューヨーク州ロング・アイランドに生まれる。53年、コーネル大学工学部応用物理科に入学、英文科に転科したのち、学生文芸誌『コーネル・ライター』の編集に携わりつつ、短編の執筆を開始。59年に卒業後、シアトルのボーイング社に一年半ほど勤務したほかは、居所の知れぬ場所で執筆活動に専念する。63年、初の長編『V.』(ウィリアム・フォークナー賞)発表。その後、66年『ナンバー49の叫び声』、73年『重力の虹』(全米図書賞)など、寡作ながら重厚な作品を発表。イメージと意味の繁茂する猥雑な語りのなかに濃厚な知識を詰め込んだそのテクストの学術的評価はきわめて高く、早くから現代アメリカ文学の最高峰の一つに数えられてきた

佐藤良明[サトウヨシアキ]
1950年生まれ。群馬県出身。東京大学教授職を辞し、現在フリーランス研究者。専門はアメリカ文学・ポピュラー音楽(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

starbro

171
世界文学全集完読プロジェクト https://bookmeter.com/users/512174/bookcases/11684481?sort=book_count&order=desc 第二十三弾 Ⅱ-11です。本書は、ファンキーでドラッグ・セックス・ロックンロールな小説でした。本書が世界文学全集で良いのか疑問です(笑) 続いて第二期ラストⅡ-12へ。 https://www.kawade.co.jp/np/special/3677774465/2022/02/05

藤月はな(灯れ松明の火)

77
出だしが「1984年」の頃で精神病を装って生活保護を受けている主人公の親父がzoidなんてそんな遊び心満載な出だしを前に読まない訳がないでしょ!!しかし、出だしが元で引っ張り込まれたが、読み進めるのが大変だった…。実際、ニンジャ登場で一気に物語に引き込まれたものだし(笑)『LAヴァイス』同様、60〜80年代の映画や音楽、ドラッグなどのサブカルチャー要素をふんだんに取り入れた大作。しかし、学生運動家だったzoidの過去が明らかになるにつれての切なさはなんだろう…。日本もアメリカと同じ道を歩んでいるだろうか。2016/06/18

どんぐり

54
ヘビーな読書体験。1950~70年代アメリカのドラッグ、ジャズ、ビート、サイケデリック、TVなどサブカルチャーをあまねく知り尽くしたかのような脚注。そしてピンチョンのこの大作。ゾイドとフレネシ、その娘のプレーリィ、DLとタケシ、ブロック・ヴォンド、次から次と人が現れ、過去に飛び、現在に戻り、油断をしているとどこを読んでいるかわからなってしまうジャンクな時空に放り出されてしまう。いやいやくたびれてしまった。しばらくピンチョンはいいや。2014/01/09

Vakira

46
「あんたのパラノイヤ 元気いいなぁ!」ストーリー展開はタランティーノ映画。世界観は伊坂幸太郎。少女の母親失踪事件がカリフォルニアから舞台は東京になったり、九の一は出てくるは、ヤクザが出てくるは、「ゴジラ」の監督に類似した名前の猪四朗教授は出てくるは。ビンチョンかなり日本御精通の御様子。スター・ウォーズ等知っている映画話が出てくると嬉しい。とうとう「2001年宇宙の旅」の音楽やモノリスの話も登場。2016/06/22

ヘラジカ

43
ピンチョン作品は3作目だが、例によって筋書を追うのにも難儀する程の滅裂さ。むしろ3作読んだ段階ではこれが一番苦労したかもしれない。滅裂と書いたがピンチョンは一度バラバラにして繋げる作家だ。時空や視点や著者の知識などを一見脈絡のない形で継ぎ接ぎに繋げていく。読むのに酷く疲れるが、乱雑かと言うとそうではない。整合性がないようでいて全体として見ると、パッチワークではなく綺麗なステンドグラスのような鮮やかな光を放っているのだ。このカオスこそがピンチョンの醍醐味であり、読者には高い壁にもなっていると言えるだろう。2015/11/02

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