出版社内容情報
デンマークに生まれ、ケニアの広大なコーヒー農園を営んだ女性作家による、アフリカの人・大地・動物との交歓の物語と、ヨルバ族の英語作家が森の魔術的世界を描き、アフリカ初の本格小説として絶讃された奇想天外な冒険譚。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
206
世界文学全集完読プロジェクト https://bookmeter.com/users/512174/bookcases/11684481?sort=book_count&order=desc 第八巻は、デンマーク人作家のケニアの農園の日々を綴った作品とナイジェリア人作家の寓話的小説のカップリングです。オススメは、『やし酒飲み』です。自家製のやし酒を一度吞んでみたい🌴 続いて第九巻へ。 https://www.kawade.co.jp/np/special/3677774465/2021/03/27
藤月はな(灯れ松明の火)
94
『アフリカの日々』のみ、読了。植民地時代支配者からの記述だが、嫌味な感じはない。西洋的価値観を押し付けずに現地の人々を「一人の人」として見る作者の視点のお陰で生活感が溢れた滋味を感じる。独自の覚え方で西洋料理を完璧にマスターするも、西洋的やり方で覚えないために仕事日照りになった王室シェフ、カマンテに人には独自のやり方があるという事を痛感。そして経営難でアフリカを去る時に従事してくれたキユヌ族が今まで通りの生活が続けられるように保証を訴える場面が「今ある仕事がなくなったら」と思うと不安になる私にはハッとする2017/08/14
りつこ
51
「アフリカの日々」素晴らしかった。淡々と綴られているのになぜか胸がしめつけられた。アフリカの広大な風景と動物たち、そして我々とは価値観や道徳観が違うアフリカの人たち。お互いの違いを尊重しあいながらきちんと心を通わせられる作者の視線があるからこそ、読んでいてこんなにも深く感動できたのだろう。書いてあることと同じくらい書いていないことにも意味があるという解説に唸りつつ…素晴らしかった。何度も読み返したい。2015/09/06
田中
35
【アフリカの日々】神秘的な情景が目に浮かぶ豊潤な一節の数々。文章それ自体に情感が溢れて明晰だった。著者は、土地の人に敬意を抱き、彼らの信仰と習俗を重んじる。愛情ある視点が、動物、物品、気候、星や風景に及ぶ。現地人が仲間内の死亡事故で要求する賠償責任の基本は「家畜」とは驚いた。日常から宇宙人を相手にするような中で奮闘する著者は、それでも「アフリカ」に魅せられる。イナゴの襲来は恐いし野犬の大集団移動は何か不吉だった。何でもありの世界のようだ。だからこそ魅了されるのだろう。純朴で自由に満ちたアフリカ。 2017/11/23
syota
33
『アフリカの日々』は、自然や動物の描写も素晴らしいが、最も読み応えがあるのは現地の人々に関する描写。帝国主義最盛期の白人支配階層としては驚くほど公平、客観的な視点で、西欧的価値観を押し付けることなく、アフリカ的なものの考え方を理解しようとしている。この作品を、現地の人を見下していると酷評した書評も目にするが(読メではありません)、全体の文脈を読めば、彼女がこの時代の白人としては稀に見る進歩的な人物だったのは明らか。時代背景を無視して現代の人権感覚で一刀両断にすることは、あまりに乱暴だと思う。⇒2017/07/03