内容説明
私たちが抱く欲望や快楽の「悪さ」とは何か?私たちの生活を取り囲む資本主義とどう向き合えばよいのか?アイドル、トランプ現象、萌え絵、武道、自炊…より良い生と市民社会を実現するためのヒントは「真面目」な政治的領域だけでなく、「不真面目」な「ファン」に目を向けることで見えてくる。まったく新しい「ファン研究」入門書。
目次
第1部 欲望と快楽を育てよう(あなたの欲望を大切にしよう;感じたことを誰かに話してみよう;欲望に形を与えよう;人に教えたり教えてもらったりしよう;「キモい」自分を生きよう)
第2部 「現実」を二次創作しよう(システムにゲリラ戦をしかけよう;支配欲を変形させよう;英雄のいない世界を作ろう;自炊して盗み、盗まれよう;楽しい殺し合いができる相手を育てよう)
著者等紹介
渡部宏樹[ワタベコウキ]
筑波大学人文社会系助教、マレーシア校勤務。南カリフォルニア大学にて映画メディア研究の博士号取得。専門は表象文化論、ファン研究。日本のポピュラー・コンテンツについての論文も多数発表している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かんがく
11
ファン(推し活)を軸に、二次創作、聖地巡礼、異世界転生、陰謀論などをテーマにしつつ、フェミニズムやポストコロニアリズムの学説を引用して、「欲望」「暴力」「資本主義」などについて分析していく。概念を整理した前半は面白かったが、時事問題多めに扱った後半はちょっと散らかっているように感じた。2025/06/02
マンデリン
2
ファン研究というディシプリンの知見から「推し活」を中心に現代カルチャーについて様々な面から論じた著作。他者という記号を利用することなしに自分の主体性や欲望を成り立たせることが原理的には不可能な人間のあり方、著者はそれを「根源的な悪さ」と呼びつつも、その悪さとのつきあい方を論じていきます。 後半の章は「いま何でこの話を読まされているんだっけ……?」と思いつつ読むことが何度かありましたが、AO3やオバマガールの話など、個々の話題に興味深い話はたくさんありました。2025/06/08
ちり
1
“資本主義社会では、商品を買うことが自己実現だと思わせる広告に囲まれて生きることになります。資本主義の「商品を買って欲望を満たせ」という命令から抜け出すためには、広告が宣伝するものとは異なる喜びを発見することが必要で、そのためには自分の欲望に向き合うことが重要です”2025/07/17
レンコン餅
1
良かったけれど、中身が複雑だったのでもう一度読んでおかないと身に入らなさそう。取り上げている事には、興味があるからより理解したい2025/06/17
まつもと
1
思ってたのと違った…というか、後書きにあったアジテーションの本というのが一番しっくり来る。具体的な内容が多くて面白かったし、頭ひとつ先に行ってる感じがあって良かった。ただ、推し活をしているあなたに向かって語りかけているとあるが、読めば読むほど逆にこの本は誰を対象にしてるんだ??という気持ちもありモヤモヤした。推し活という便利で面倒くさい言葉の持つ多様なファン心理・ファン行動と資本主義社会の仕組みによる関係性の変遷や、それによる推し活の重篤性みたいなものを考える本ではない。2025/06/06
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