内容説明
全員集合!!賢帝、愚帝、対立王と、歴代皇帝54人!初代オットー大帝から、ラスト・エンペラーフランツ二世まで、約一〇〇〇年の歴史ドラマを一気見!
目次
1 ドイツ皇帝時代の歴史(オットー朝;ザリエル朝;シュタウフェン朝)
2 大空位時代(対立王ハインリヒ・ラスペ;コンラート四世 ほか)
3 諸王家交代時代(ルドルフ一世;アドルフ・フォン・ナッサウ ほか)
4 ハプスブルク家による皇帝位ほぼ独占と帝国の終焉(アルプレヒト二世;フリードリヒ三世 ほか)
著者等紹介
菊池良生[キクチヨシオ]
1948年生まれ。明治大学名誉教授。専攻はドイツ・オーストリア文化史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
旅するランナー
170
18世紀の啓蒙思想家ヴォルテールが「神聖でもなく、ローマ的でもなく、そもそも帝国ですらない」と揶揄した、内戦が絶えない神聖ローマ帝国の歴代皇帝54人(ドイツ王どまりや対立王も含めて)の小伝が小気味良い語り口で綴られます。カノッサの屈辱、王の霊威、大空位時代、フス戦争、アウステリッツ会戦など、権力闘争と戦争に明け暮れる約1000年。やっぱりややこしい。2025/09/27
パトラッシュ
130
室町幕府や江戸幕府の将軍が有力大名の選挙で選ばれたら。あり得ないと思う国家が欧州には存在したが、当然選ぶ側の諸侯の勢いが強く、妥協で選ばれた弱い皇帝は自らの権力を確立しようと抗争を繰り返す。よくこんな制度が続いたと思うが、ローマ教皇という神の代理人に対抗するため生まれた必要悪か。しかも1世紀近く存続したためそれなりの権威が生じ、現在のドイツ国民の意識が根付きハプスブルク家がオーストリア皇帝となる契機となった。悲喜こもごもの生涯を送った歴代の諸帝は、プライドだけは高く王権神授説を信じていたのか聞いてみたい。2025/08/06
skunk_c
65
神聖ローマ皇帝、および皇帝にならなかったもののドイツ王として事実上の皇帝位についていた者、さらには対立王を含めた54人についての小評伝。ドイツ皇帝、大空位、諸王家交代、ハプスブルクと4つの大きな時代区分で区切りながら、著者らしい軽妙な文章で筆を進める。当然連続した話なので、同じ話が何度も出てくるのだが、立場の変わった側面からなのであまり重複感はない。ただ、地名が多く、その時々の地図は欲しい。手元に高校用の歴史図説か何かがあると良いかもしれない。読了すると神聖ローマ帝国の像が少しはっきりした気がする。2025/07/10
軍縮地球市民shinshin
19
神聖ローマ皇帝が、ドイツ王や対立王も含めて1冊にまとまっている新書。そもそも神聖ローマ帝国は、現在からみるとかなりヘンテコな「国家」だったと分かる。国家というより国連みたいなものだろうか。帝国を構成している各王国や教会領などの自治権が強いこと、皇帝が選挙でえらばれること、皇帝が一応世襲ではないという形態をとっていたため、常に内乱が起こっていたことがわかった。国内・国外での戦いに終始していた。後期はハプスブルク家の世襲になるが、それもローマ皇帝というよりもドイツ国王としての側面が強くなっていた。2025/09/05
nizi
7
ある意味著者の集大成といった本。皇帝が一人残らず書かれているが、初心者向けというよりも、今まで神聖ローマ帝国の本を乱読していた人が、頭の中を整理するのに有益な一冊。かのマリア・テレジアが載ってなくて不思議だったが、そういや女性は皇帝になれないんだったと思い出した。納得。2025/10/07