出版社内容情報
48歳でミャンマーに赴任したサラリーマンが、金融制度のない現地で、自ら動いて法整備を進め、現地銀行のCOOになるまで。
内容説明
二〇一三年、ミャンマーが民主化へと舵を切り始めた頃、英語もミャンマー語も話せないまま、その地に赴任した、四七歳の日本人銀行員がいた。通貨や銀行が信じられていなかったその国の各地をまわり、中小企業のための融資の仕組みをつくったのち、自分以外が全員ミャンマー人の地場銀行のCOOになる―ミャンマー金融を成熟させるために動いた、一銀行員の三一〇五日間の物語。
目次
第1章 「これから面白くなる」と言われたミャンマーへ
第2章 まずは制度を
第3章 日本人銀行員、法をつくる
第4章 「実ばかりCEO」の格闘
第5章 地場銀行のCOOとなる
終章 クーデターの傷跡
著者等紹介
泉賢一[イズミケンイチ]
1966年生まれ。神戸大学卒業後、太陽神戸三井銀行(現三井住友銀行)に入行。2013年からミャンマーにて、中小企業への融資制度づくりに尽力する。19年に三井住友銀行を退職し、一般財団法人日本建築センター嘱託職員をへて、ミャンマー住宅開発インフラ銀行COOを務める(20年まで)。ミャンマーにおいて、政府系銀行の外国人COOは初めてだった。現在は住友林業に勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ごへいもち
18
「ルワンダ中央銀行総裁日記」のDNAがここにも…と言ったら失礼だろうか。ミャンマーの政治が現状のようになってしまったため中断した著者の功績。そういえばルワンダもあの後ハビャリマナさんが暗殺され虐殺が起きたんだった…2022/05/06
nishiyan
18
三井住友銀行で長く中小企業融資業務に従事した著者が突然の辞令によって、銀行や通貨への国民からの信頼度が低いミャンマーに赴任。現地で信用保証制度を作り、地元銀行でCOOに就任し退任するまでの2013年から2021年の活動をまとめた新書。「ミャンマーの発展のため」を胸にゼロの状態から全国津々浦々を訪問し、現地の要望を元に、時には運が味方しながら制度を作り上げた著者の苦労は本文からにじみ出ている。またミャンマー人の気質や国情といった点も丁寧に解説されており、今のミャンマーを知る手がかりの一冊といって良いだろう。2022/01/24
OMO
1
面白さ:○ 興味:○ 読みやすさ:○ 新鮮さ:○ 文学的云々:×2023/06/19
shrzr
0
思いのほか、金融実務への示唆に富んでいる。2023/05/31
Nachchaduwa
0
銀行から融資を受けるということがない、そもそも銀行を信用していないミャンマーの人々に、どのような仕組みを作って融資を広め、経済の活性化につなげるか。 「信用保証保険CGI」の導入にあたって孤軍奮闘でそのシステムを作り運用開始まで進めた著者の熱意には頭が下がります。 本書は、以下の視点から注目します。 ・ミャンマー独特の無駄に細かく、なかなか物事が進まない官僚組織に対して、どのように向かい合って仕事を進めたか ・人と人とのつながりが、大変重要であるなか、いかに信頼できるパートナーを見つけるか 2022/11/21