出版社内容情報
「教養」という語に折りたたまれた心性の変遷を解きほぐし、前向きに学ぶ女性たちの、実現されない夢の構造を明らかにする。
小平 麻衣子[オダイラ マイコ]
1968年生まれ。慶應義塾大学教授。日本近代文学におけるジェンダー/セクシュアリティを、さまざまなメディアや文化の広がりのなかで分析している。『女が女を演じる――文学・欲望・消費』など。
内容説明
女性にとって「教養」とは何か。深い知識や理解力から、読んでおくべき本のセット、洗練された趣味やふるまい、だれでも知っているべき一般常識にいたるまで、都合よく曖昧に使われてきた語「教養」。そこには、それぞれの時代に求められる女性像が投影されてもきた。大正人格主義から、通俗小説の中の「教養」、“文学少女”と雑誌投稿、戦後文学部の“女性化”、カルチャーセンター通いや“自分磨き”まで―。「教養」という言葉に折りたたまれた歴史的経緯をたどりながら、前向きに学ぶ女性たちを振り回す、実現しない夢の構造を解き明かす。
目次
第1章 “人間”にはエリートしかなれないというよく知られた事実―通俗小説からみる大正教養派
第2章 東大生“以外”はどんな本を読んできたか―女の教養の範囲
第3章 恋愛は女の革命か!?―マルクス主義と人文的教養の凋落
第4章 差別するにはまず女性を活用すべし―「教養」の二重底
第5章 向上心があなたをダメにする―教養雑誌の投稿から
第6章 “文学少女”はいない―文豪たちの邪悪な共同体
第7章 お稽古も命がけ―戦中における“ほんとうの教養”の呪縛
第8章 戦後文学部の女性化―“役に立たなさ”の大暴落
第9章 文系バブル崩壊―その後に残るもの
著者等紹介
小平麻衣子[オダイラマイコ]
1968年生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。現在、慶應義塾大学教授。日本近代文学におけるジェンダー/セクシュアリティを、さまざまなメディアや文化の広がりのなかで分析している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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